健康ツーリズムのオンとオフ

“恩”には “恩”で応えてほしいというのは何においても同じことですが、“恩”のプラスに対してマイナスで返されることがあります。これを私たちは「オンをオフで返す」と表現しています。恩に対しては“仇”(あだ)となるところでしょうが、せっかくスイッチをオン(ON)にしてあげたのに、すぐにオフ(OFF)で切ってくる人もいるのです。
観光地なら季節の名所を楽しむことができるオンシーズン(多くの人が訪れる季節)に行きたいところですが、繁忙期は混雑していて宿も取れないので、オフシーズン(観光客が少ない季節)に来てほしいと地元の方々に言われることがあります。オフシーズンには観光客が少ないので、その時期に来てもらえると助かるという気持ちはわかります。しかし、観光地に空いているときに来てほしいというのは、宿泊地を儲けさせるためのことで、おもてなしの気持ちで言っているわけではないだろう、と普通に言われます。
ところが、あえて観光地でオフシーズンに集客をすることがあり、それは観光よりも健康を打ち出したツアーだったり、静かなところで発想を豊かにする研修ツアーだったりします。オンシーズンに満杯状態になっていない地域では、他の切り口で呼んだ旅行客にオンシーズンに来てほしいということになるのでしょうが、オンシーズンは来てもらっても泊まれないという地域では、四季の自然を楽しむことだけでなく、他の観光目的である文化や体験施設を売り物にしています。その中に私たちは健康づくりを目的としたツーリズムを加えています。
「自然の中を歩くだけで健康」とか「雑踏から離れてリラックスできるだけで健康」などと言うつもりはありません。健康づくりをするためには、ある程度の設備は必要で、温泉やウォーキング道、多目的に使える体育館やグラウンドなどがツーリストのためにも開放されていることが条件的には必要になってきます。こういった健康ツーリズムなら、シーズンのオンもオフも関係なく、いつでも実践できることになります。ただ、オンのシーズンに宿泊施設が観光客で満杯という場合だけは、オフシーズンで組み立てるしかないのが、ちょっと厳しいところではあります。