健康ベネフィットのウォーキング

ベネフィットは幸せを感じる利益のことで、この前に健康をつけると健康づくりに成功して、幸せになるということを指した言葉となります。健康でなければ幸せと思えることを実施することができないというだけでなく、幸せと感じられる町づくりにも役立てられないということで、健康づくりの幸せと活動の成果による幸せの両方を求めて実施しているのはウォーキングです。「健康ベネフィットという崇高な言葉を持ち出してきた割には歩くだけか」と言われそうですが、ただ歩くだけではありません。採用しているのは効果が得られるウォーキングで、私たちが取り組んでいるのは歩く速度を変えるだけでスポーツ並みの健康ベネフィットにつながるインターバルウォーキングと、ポールを使って歩くノルディックスタイルのウォーキングです。
ウォーキングによる健康ベネフィットで注目しているのは、医療費の抑制です。増え続ける医療費を抑えることは個人の利益であるとともに自治体の利益でもあります。日本人の生涯医療費は、男女平均で2700万円、男性が2600万円、女性が2800万円となっています(厚生労働省2016年)。このうち半分ほどは70歳以降に使われています。70歳までに医療費を抑えることができれば、生涯の医療費を抑えることに直結します。
運動の介入によって医療費を抑制する取り組みには多くの機関が参加していますが、その一つの一般社団法人スマートウエルネスコミュニティ協議会(SWC)の研究発表によると、運動を中心とした健康づくりによって暦年齢が58歳の人の体力年齢が3か月後に65.4歳から60.9歳に4.5歳、若返っていました。健康づくり実施群は対照群(平均年齢70歳)に比べて4年後の医療費は1人当たり約9万円抑制されたとの結果が報告されています。
これまでのSWCの研究成果から歩数増加による医療費抑制への貢献が割り出されています。それによると1歩が0.061円となり、1日に2000歩を増やした場合には1万人が参加すると1年間で4億4530万円の抑制になると計算されています。また、個人の成果では1年間、毎日3000歩ずつ増やすと入院医療費は約21,000円の抑制、通院医療費は約40,500円の抑制になると報告(筑波大学)されています。
私たちが地域活動をする岡山県和気町の高齢者の約5500人(1万4500人×高齢化率38.6%)のうち、1000人が1日に歩数を1000歩を増やしたとすると、1年間で2226万円を超える医療費の抑制となる計算です。この抑制予測金額の一部をウォーキングの実践や座学教育などの健康づくりにかけることによって、自治体の健康ベネフィットを実現できると考えています。