健康効果を大きく見せるための図表のマジック

機能性表示食品は人間を対象にした科学的な研究成果を根拠として健康効果を表示することが許可されるもので、消費者庁によって制度化されています。どれくらいの効果があるのかを数字だけで示されてもわかりにくいことから、販売にあたっては図で示されることがあります。この図は消費者庁に届け出た数字を元にしているので間違いはないはずですが、見ている人が間違えるような示し方がされることがあります。
例えば、血糖値の上昇を抑える成分の有効性を示す図で、何も摂らなかった場合には急上昇しているのに対して、上昇のカーブが緩やかになっているのを見ると、いかにも効果があるように見えます。しかし、その差が実は小さなものであってもグラフの数字の幅を大きくすると、大きな差があるように感じてしまいます。下がった結果が、糖尿病の範囲から正常範囲まで下がったなら、これは効果があると思えるのですが、正常範囲の中での変化だと、これで効果があると言えるのかとの疑問も湧いてきます。
グラフの数字を見ると、途中が切れているものも見かけます。途中が切れているというのは、グラフの下から上までが連続しているわけではなくて、途中が省略されているものです。これをやられると、あまり大きな差ではないものが、大きな差に見えてしまいます。
中には数値が下がったデータだけを示して、比較したものが示されていないものもあります。比較対象がないと、どれだけ効果があったのかを確認できなくなります。本物ではない成分を摂ってもらって、本物の成分との差を見る方法が普通ですが、本物ではないプラセボでも有効性が現れることがあります。心理的な要因で、これは効果があると思って摂ることで、少しではあっても効果が出ることがあります。だから本物とプラセボで比較試験が行われているわけですが、プラセボを見せられないと本当の効果がわかりません。
本当の効果は、本物の有効性からプラセボの有効性を差し引いたものです。それがないと実際の効果はわからないので、絶対に示さないことには有効性を述べてはいけないと思うのですが、いまだに目にすることがある示し方です。