健康寿命とフレイルの関係

フレイルについて前回、紹介しましたが、これについてはメディアよりも地方創生を通じて健康寿命延伸に取り組んでいる関係者から強い反応がありました。メディア関係者は、フレイルが何を意味するのか理解できなかったのかもしれませんが、筋力が低下して衰えていくフレイルは介護保険制度の要支援と要介護の危険性が高い状態です。フレイルは健康と身体機能低下の中間に位置づけられていて、要支援と要介護の状態になると自由に日常活動を送ることができなくなります。自由に動ける期間は健康寿命という言葉で表現されています。
健康寿命は自由に活動できる期間を指しているということは、フレイルは身体機能の低下が始まった段階であっても行動は制限されていないため、フレイルまでが健康寿命とされています。フレイルは生活習慣病の初期段階であるとともに、老年症候群と呼ばれる認知機能紹介、視力障害、難聴、めまい、摂食障害などが起こるようになっているだけに、回復困難な身体機能低下となる前の、これらの症状がみられた軽度の段階で対応するべきだということです。
これらの対策は老年医学の研究に基づいたもので、それぞれの対象者の状態に対して的確なアプローチがなされれば、老化を抑制し、数年前よりも元気に生活をすることも可能となっています。そのメリットを実感してもらうためには、均一的なアプローチではなく、個別対応をするための対象者の状態の把握が重要となります。その把握のために活用されるのは検査数値だけではなく、筋力や活力の衰えの程度を知ることから始まります。
特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構は、高齢者を対象とした健康づくりに、衰えを意識した段階から始めるフレイルの行動変容を取り入れています。これは高齢者だけでなく、高齢者を支える立場にある子供世代にも取り組んでもらいたい項目として、取り組みやすく、成果が出やすい運動と栄養について提案をしています。私たちは運動と栄養の単体ではなく、組み合わせて効果を高める方法を研究しているので、これを地方自治体などの取り組みに提供しているところです。