健康標語「まごたちわやさしい」

健康を気づかって食べるようにしたい食品を並べた「まごわやさしい」については以前に紹介しました。それに2文字を加えた「まごたちわやさしい」について知りたいと雑誌記者から連絡がありました。「たち」は何かということと、他に「まごわやさしい」の食品に変わりはないのかという問い合わせでした。「まごわやさしい」は、豆(ま)、ごま(ご)、わかめ(わ)=海藻、野菜(や)、魚(さ)、しいたけ(し)=きのこ、芋(い)を表しています。ビタミン、ミネラルの補給に必要な食品で、食卓にのぼりにくいものもあります。
これに新たに「たち」を加えようということで、卵(た)、乳(ち)=乳製品をプラスすると、カルシウムとビタミンB群が補給できるので、子供にも高齢者にもすすめたい食品です。あとは“高齢者は肉を食べろ”と言われる時代に合わせて肉(に)を加えて「まごたちにわやさしい」となるのでしょうが、にわ(には)となると子供にはよくても高齢者にはそうでもないという印象になりかねないので、今は「に」は使わなかったのでは、という話を記者にはさせてもらいました。
「たち」を加えてアピールしているのは、骨粗鬆症の予防には骨密度がピークに達する20歳の前に、カルシウムとたんぱく質を摂ってもらい、将来にわたって丈夫な骨で暮らしてほしいという栄養関係者の発案です。今どきの少子化で孫がいても一人だけという時代に「まごたち」とは贅沢な、という発言も耳にしましたが、数少ない孫世代だけに健康には留意してほしいという願いがこめられた標語でもあるのです。
卵と乳製品は重要なたんぱく源です。魚と豆も重要です。いわゆる良質なたんぱく質は肉、魚、卵、牛乳、大豆で、このうち肉以外は「まごたちわやさしい」に揃っています。先ほどの「まごたちにわやさしい」となると、すべてが含まれることになります。良質なたんぱく質には体の中では作られない必須アミノ酸がバランスよく含まれているので、健康づくりの基本となります。
肉に多く含まれる飽和脂肪酸は動脈硬化のリスクを高めるのに対して、魚と植物油(大豆油など)に多く含まれる不飽和脂肪酸は動脈硬化のリスクを低下させます。この点から言っても「まごたちわやさしい」は以前の「まごわやさしい」から健康づくりの食品の知識を広めるのにもよい標語だ、という話もさせてもらいました。