健康食品と食品の機能の違い

食品の機能を高めたものは機能性食品として知られています。機能性食品というと今ではエビデンス(科学的根拠)が確認された健康食品が広まってきたことから、この健康食品を指す言葉とされています。しかし、機能性食品の表示制度ができるまでは、通常の食品よりも機能性を持っている食品のことを指していて、健康食品ではなく食品そのものを指していました。例えば、リコピンが豊富に含まれるトマト、βカロテンが豊富に含まれるニンジンやカボチャなどの緑黄色野菜といったものです。
食品そのものには機能があって、その第一は栄養となっています。糖質、脂質、たんぱく質の三大エネルギー源、ビタミン、ミネラル、食物繊維の六大栄養素のことです。栄養素は体内では合成できないものなので食品から摂る必要があります。例外的にビタミンの一部は腸内細菌の発酵によって作られるものもありますが、それで食べずに済むという量ではありません。
第二は味です。おいしいというのは大事な要素で、おいしいさがあるから食欲が湧き、多くの栄養素を摂ることができます。第三が保健機能で、これを凝縮、抽出したのが健康食品の素材となっています。
健康食品には機能性があるといっても、それだけで栄養素が補えるものではなく、味もないということが言われます。つまり、おいしさの機能はないというわけですが、中には、おいしさを感じないわけではないものも含まれています。むしろ、まずいものも少なくありません。非常に機能性に優れているのに、多くを使うと苦みや渋みなど、まずくなって他の成分でカバーすることができなくなることから、仕方なく少ない量にされているものもあります。
脂肪の燃焼には非常に効果が高いL‐カルニチンは味のせいで多くの量が使われないことがあり、それをいいことに少ない量しか使わず、「それでも効果がある」というようなことを語って販売されている例もあります。味よりも臭いの問題で多くの量が使われないものもあります。クリルオイルは南極のオキアミから採れる脂肪酸で、血液サラサラ効果は抜群で、強い抗酸化作用もあるので、血流促進系としては非常に優れています。好ましくない魚臭さがあり、おいしくない健康食品の素材と認識されています。
ダイエット効果が高いブラックジンジャーは刺激的な味で飲みにくいものです。ウコンも茶カテキンも濃いものは苦くて、とてもではないが飲めません。しかし、これらの素材を使った健康食品と飲料は人気となっています。それを可能にしたのがシクロデキストリンです。環状オリゴ糖とも表示されるブドウ糖が環状につながったもので、この中に素材が入ると強い味を感じなくなり、スムーズに摂ることができるようになります。
中に入ったというと、吸収されにくいような印象も抱かれがちですが、むしろ吸収されやすくなります。ちょうどカプセルの中に入って、胃液などで壊されることがない、腸壁に的確に届けられる仕組みになっています。この壊されずに届けるという働きがあるから、胃液で分解されやすい天然型のα‐リポ酸(R‐αリポ酸)を体内に効率よく届ける役割をしているのもシクロデキストリンです。
「健康食品には味がない」などと言わず、味があって濃い状態で摂るには特別の手段が取られていることも知っておいてもらいたいものです。シクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。