健康食品を妊婦は摂ってはいけないのか

ビタミンB群の一つの葉酸は細胞分裂に必要であることから、妊婦だけでなく、これから妊娠を考えている女性にもサプリメントを利用して摂ることがすすめられています。この事実からサプリメントは妊婦が摂ることに問題はないように思われるのですが、「妊娠可能な女性は健康食品を摂ってはいけないというのは本当ですか」という質問が新聞記者からありました。サプリメントとして摂ってもよいのはビタミン、ミネラルであって、機能性を求める健康食品は妊婦を対象としているものではありません。対象としていないどころか、妊婦は摂ってはいけないのです。このことは日本メディカルダイエット支援機構が実施しているサプリメント情報知識検定の中でも重要事項として紹介しています。
健康食品の安全試験は妊婦だけでなく妊娠可能な女性では実施されていないので、妊婦や同年齢の女性に効果があるのかどうかは確かめられていません。というのは、妊娠している女性が健康食品の成分を摂ることによって、胎児への万が一の健康被害があってはいけないからです。
安全への配慮ということでは、動物試験で有害性が認められたものは、人間で確認することはできません。そのために動物に危険な成分が、人間では危険を示すデータがないということで禁止されていないということがあります。その例として取り上げているのは、α‐リポ酸のうち非天然型のS体の成分です。S体のα‐リポ酸を天然型のR体のα‐リポ酸と組み合わせて使われているサプリメントが相当数に及んでいます。
もう一つの例として紹介しているのは、ちょっと毛色が異なるものですが、高圧送電線の低周波の電磁波です。人体に影響があるのは頭の高さで200マイクロテスラ以上の磁束密度です。国内最大の50万ボルトの高圧送電線の真下でも頭の高さでは6〜8マイクロテスラなので大丈夫ということになっていますが、高圧送電線の真下に長時間いる人はいないだろうということで、せいぜい3分を想定しています。電磁波の被害は「強さ×距離×時間」で求められます。高圧送電線の真下の頭の高さで8マイクロテスラでも1時間いたら3分の20倍なので「8×20=160」となります。1時間半(90分)なら「8×30=240」で200マイクロテスラを超えてしまいます。
これが本当に危険なのかどうかですが、高圧送電線の下に長くいた状態での試験は行われていないので何が起こるのかはわからないのです。健康被害を訴えている人がいても、証明されないということでスルーされてしまうのが普通です。試験が行われていないからわからないというのは、電磁波でも健康食品でも同じということです。