元に戻るのは簡単か大変か

ダイエットのリバウンドについての話ですが、「元に戻ってしまった」という表現をする人が少なくありません。リバウンドというと一般には、“ダイエットによって減った体重が元に戻ること”という認識をされていますが、実際には“太りやすく、やせにくい体質になること”です。身体に合わない食事を減らすだけのダイエットをすると体脂肪とともに筋肉も減ってしまい、その後に太ると筋肉が減っている分だけ代謝が低下しているので、以前よりも太るようになることを指しています。
もともとリバウンド(rebound)は跳ね返りを意味する言葉で、バスケットボールやアイスホッケーで跳ね返ってきたボールやパックを受けたり、攻撃に転じることをいいます。
跳ね返りなら、また元の状態に戻せるものですが、ダイエットで筋肉が減って、体脂肪が増えてしまった状態でのリバウンドとなると、前にやせたのと同じ方法と期間、苦労では同じようにダイエットできないことになります。
このことを考えると、元に戻るのは大変だということになります。筋肉を減らさないように運動を組み入れてダイエットをしたときには元に戻るのは簡単だ、ということにもなります。
ただ、考えてみないといけないのは“元”が、いつのことを指しているかで結果が違ってくるということです。太っていた人が前よりもやせたとして、その人にしてみれば元というのは太っているときのはずです。しかし、小児肥満のように、ずっと太っていた人は例外としても、途中から太ってきた人の元は、まだ太っていない段階、やせていた段階です。そういう人にしてみれば、ダイエットでやせた人が、ちょっと前の太っていた状態に戻ることが元となるのでしょうが、本当の元はやせていたときで、元々のようにやせたときに「元に戻った」と表現してほしいところです。
こういった考え方をすると、生活習慣の積み重ねで太った人が本当の元に戻るには相当の努力か期間が必要ということになります。ダイエットに成功したことがある人は「ダイエットなんて簡単」「元に戻るのも簡単」というような考えをしがちですが、そんなことを考えて、自分は太っても元に簡単に戻れるから大丈夫というようなことを言って、生活習慣を改めないと、簡単には戻れなくなり、後になって「ダイエットは大変!」ということに気づくことにもなりかねないのです。