免疫低下で糖尿病のシメジとエノキが増加する

新型コロナウイルスの感染拡大で糖尿病患者は感染リスクが高いことが示されました。新型コロナウイルスに限らず、糖尿病になると免疫が低下します。糖尿病は血液中のブドウ糖が多くなり、赤血球をくっつけるようになって血流が低下します。特に低下するのは毛細血管で、毛細血管は8μm(マイクロメートル)の太さで、赤血球は10μmと大きいので、つぶれるようにして通過していきます。これは赤血球が単独の場合で、くっついてしまったら通過できなくなります。その結果として免疫細胞の白血球もリンパ球も流れにくくなり、免疫が低下することになります。
10年以上の治療歴がある糖尿病患者は平均寿命が10〜12年は短くなっています。平均寿命だけでなく、糖尿病の合併症である神経障害、目の網膜症、腎症が起こりやすくなります。この三大合併症は頭の文字を取って「シメジ」と表現されています。糖尿病は血糖値が高いだけでは健康に直接的な影響はなく、合併症さえ起こらなければ健康な人と同じように生活することができます。同じような生活といっても、血糖値を大きく上昇させないための食事と運動の注意は必要で、平均寿命が短くなるのは仕方がないことです。
合併症が進むと、生命に関わる病気が引き起こされます。それは「エノキ」と表現されていて、壊疽、脳卒中、狭心症を指しています。神経障害になると足に傷があっても痛みがなくなり、足が腐る壊疽になって切断という恐ろしいことになります。糖尿病になって赤血球の毛細血管の流れが悪くなると全身に運ばれる酸素が減って、血管の新陳代謝が低下して、血管の再生が遅れることから血管の老化が進みます。それが脳血管疾患の脳出血や脳梗塞、心疾患の狭心症や心筋梗塞を起こす要因となります。糖尿病による年間の死者は1万人ほどで、その多くは腎症によるものですが、合併症の先にある病気で亡くなった人は、その病気が死因とされます。実際は、相当の数が糖尿病関連で亡くなっているので、血糖値の管理は免疫維持とともに、生活習慣病の予防・改善に必要だということです。