免疫向上のためのコエンザイムQ10

コエンザイムQ10というと細胞のミトコンドリア内のTCA回路でエネルギー代謝が起こるときに使われる補酵素で、代謝が促進されることによって活性酸素を消去する抗酸化作用が知られ、美容系のサプリメントの成分ともなっています。ダイエット成分だと認識をしている人もいます。それは間違ってはいないのかもしれませんが、コエンザイムQ10だけでダイエット効果を期待するのは難しいことです。ブドウ糖をミトコンドリアに取り込むα‐リポ酸、脂肪酸を取り込むL‐カルニチンがあり、これにコエンザイムQ10が加わることで、エネルギー源を取り込んで、それをエネルギーに変換させることができるのです。
三大ヒトケミカルは健康維持に必要だと常に説明していますが、免疫の向上だけは3つの組み合わせの効果は確認されていません。免疫を司っているのは白血球です。白血球は全身をパトロールしていて、外敵(細菌やウイルス、病原菌など)の侵入を確認すると直接攻撃をします。白血球で戦えないほどの強敵の場合には、次にマクロファージが登場しますが、マクロファージは敵を取り込んで、こんな敵を、これくらい退治したとの情報物質を出します。この情報を受けて、より強いリンパ球が登場するという順番になっています。
白血球は免疫細胞と呼ばれるくらいで、ちゃんとした細胞です。細胞はエネルギー源を取り込んで、これを細胞内で代謝させて作り出したエネルギーによって活動しています。免疫を高めるのはキノコだという話が広まり、それはキノコに含まれる多糖類が白血球のエサになっているからだと説明されています。それは間違っていないのですが、エサを食べても、これが代謝によって充分にエネルギーにならなければ仕方がないわけで、それに対してα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10のどれに効果があるのかの試験が行われています。試験の結果は省いて結論だけをいうと、コエンザイムQ10には効果がありました。
コエンザイムQ10は免疫の活性のためにはサプリメント成分としても摂りたいところですが、吸収率が低くて1%ほどでしかありません。どうして、そんなにも吸収率が低いのかというと、もともと体内で合成されている成分で、20歳をピークに減少していくものの30歳代までは大きく減少しません。人間が今ほど長生きではなかった時代に作られた吸収の仕組みを今も守っているのが人間の身体です。そのためにコエンザイムQ10は食品から多く摂る必要がないということで、吸収率は低いままとなっているのです。
こんなにもコエンザイムQ10が入っていると書かれていても、こんな吸収率とは書かれていないので、実際のことを知らずに期待だけが膨らんでいる面もあります。シクロデキストリンのγタイプを用いたものでは10倍以上の吸収率が得られています。中には18倍になったとの試験結果もありますが、それでも18%で、今はこれが限界です。
多くの量を体内に取り込もうとしたら、吸収率が高いものを、多めに摂るしかないということです。
コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。ついでにシクロデキストリンも参照してください。