前日の気温が体調に影響を与える

熱中症は気温が上昇すると危険性が呼びかけられます。しかし、気温だけが危険の要因ではありません。湿度の変化が重要なチェックポイントで、気温と湿度の関係から、外出することさえ避けなければならない厳重警戒となる気温が違ってきます。湿度が20%のときの厳重警戒となる気温は38℃で、一般には猛暑日とされる気温です。30%では36℃となり、これも猛暑日の基準の35℃を超えています。こんなにも気温が高くなると、さすがにウォーキングは控えようと思うかもしれませんが、湿度が40%だと34℃と、これは真夏日の気温です。50%では32℃、60%では31℃と、まだ真夏日の30℃を超えています。ところが、70%となると29℃となって、この気温は夏日であって、注意して歩こうという気にさせないような気温となっています。
実際の気温だけに身体は反応しているわけではなくて、前日の気温との差が実は身体に大きな影響を与えます。例えば数日30℃であったところが前日に25℃となり、そしてランニングやウォーキングの当日に30℃に戻ったとすると、身体は30℃の気温への対応ではなく、気温差によって30℃以上のときと同じように反応します。実際に、どれくらいの気温の反応をするのかについては個人差もあり、運動の強度によっても違ってくるのですが、通常は気温差の半分、25℃と30℃であったとすると32.5℃のときの反応をすることになります。だから、実際の気温よりも身体の負荷が強まっていることを意識して、歩くにしても距離も短くする、歩行速度を落とす、水分補給や日陰を歩くなどの熱中症対策もする必要があります。
逆の気温差への対応もあって、25℃が続いて前日が30℃になって当日が25℃だと、これも個人差などがあるのですが、25℃よりも低い状況の身体の反応となります。この程度の気温なら体調不良が起こりにくい人は多くても、寒い季節だと身体がもっと寒い状況のように反応すると心臓の負荷が高まることもあるので、数日前からの気温の変化には注意しなければならないのです。

日本生気象学会 資料