卵と玉子の使い分け

卵は栄養豊富で、一部には“完全栄養”という言われ方をしています。ここでいう卵は鶏卵を指していますが、たった1つの細胞であった卵が分裂してひよこ(雛)となることからイメージされています。実際にも卵黄と卵白には必須アミノ酸を含むすべてのアミノ酸が含まれていて、ビタミン、ミネラルも豊富です。エネルギー代謝に必要なビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)を摂ることができるので、代謝の促進、生命維持と活動のためのエネルギー産生にも是非とも食べるべき食品とされています。
食品として指すときには“卵”が使われています。これに対して“玉子”という表示もされます。卵と玉子は、どこが違うのかということですが、調理をしたものが玉子です。となると、食べることを目的として加熱をしたものは玉子です。だから、ゆで玉子、玉子焼きとなるのが正式な表現となります。卵を割って、ご飯の上にかけただけのものは卵かけご飯なのか、それとも玉子かけご飯なのか議論が別れるところです。
調理をしたものが玉子という説に従うなら、割ってご飯の上に乗せたものは、まだ料理の前なので、これは卵であると考えられます。これに醤油をかけた段階で調理は完成しているので玉子になります。とういうことで、玉子かけご飯が正式な名称のはずなのですが、卵は加熱されていないので卵かけご飯のほうが正しいという主張を崩さない人もいます。
文字の使い分けは、間違わないためにされることなので、ゆで卵、卵焼き、卵かけご飯でも調理をしたものであることがわかります。この話をダイエット講習でしたときに、まったく料理をしない、買ってきたものを食べるだけと話していた女子大生が、「私も料理をしていたんですね」と話していました。買い物に行くのが面倒なときに、生卵をご飯にかけて食べていたということですが、これをもって“料理ができる女”と言われるのも、どうかと思います。