同じサプリメント成分でも吸収率が違う

免疫の向上が期待されるものの一つにアガリクスがあります。これはブラジルの高地に自生するキノコで、日本では姫マツタケとも呼ばれるマッシュルーム系のキノコです。あるアメリカ大統領が使って、がんに効果があったということで世界に広まりました。マツタケという呼び名をされていることから、マツタケのように単体で生えているように思われていました。
思われていたというよりも、初めて日本に紹介した広告代理店が、姫マツタケという名を聞いたことから、マツタケのように見えるように抜いて、割いて植え直して写真を撮って、テレビ番組に出したことから、単体で生えているようなイメージが広まりました。実際にはシメジのように群生しているキノコです。私たちがテレビ番組の映像を頭から信じてはいけないと話すときの例として使っていることです。
そのアガリクスですが、日本で初めて紹介されたときには、初めは弱火で煮出してビタミンとミネラルを出し、次に強火で煮出して多糖類を出すということが紹介されました。これを別々に飲むのか、混ぜて飲むのかが論議されたこともありました。しかし、この論議は意味がありませんでした。というのは、アガリクスの細胞膜の繊維は非常に硬くて、煮たくらいでは細胞膜を通過して多糖類は外には出てこないからです。煮ても出てこないのに、成分について語っていたわけです。健康食品は有効成分の吸収率に大きな関心が寄せられているところですが、この場合の吸収率は0%ということになるわけです。
その後の研究で、細胞膜を破壊しなければ成分が出てこないことがわかり、成分を出すためには細胞膜を破壊するために圧力をかけるか、乳酸菌などの発酵によって細胞膜を壊すしかないことがわかりました。このことがわかると、煮出して効果があると言われていたことが何なのか疑問が湧き上がってきますが、こんなことが健康食品の世界では、そして登場してすぐのときには、よくあったことです。