吸収されないはずの水溶性食物繊維が身体によい理由

健康に役立つ機能性成分は胃の中で分解されて、小腸から吸収されてこそ効果が発揮されるものです。だから、吸収されないものだったら効果がないことになります。以前にクロレラ商品を国民生活センターが購入して、吸収率について調べたことがあります。そのときに分解されないために吸収されず、そのまま素通りという商品があり、名指しもされて、販売が大きく落ち込んだということもあります。これはわかりやすい例だと思います。
キノコに含まれるβグルカンという多糖類も同じようなことが起こっています。これについて問い合わせをしてきたのは週刊誌の記者でした。「βグルカンは水溶性食物繊維なのに吸収されるのか」という内容で、水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も消化されず、吸収もされないので、どうして免疫が高まるのかということを聞いてきました。
βグルカンは水溶性食物繊維であるのは事実です。また、食物繊維が消化されず、吸収もされないのも事実です。グルカンには2種類があって、αグルカンはデンプンやグリコーゲンで、βグルカンはセルロースという食物繊維です。
βグルカンは免疫細胞の栄養源となっていて、免疫細胞が取り込むことで外敵と戦う免疫が高まっていきます。戦車も戦闘機も燃料がなければ戦えないのと同じこと、とたとえられています。
胃では消化されないことから、健康食品の中には分解された状態にしたものもあり、これなら吸収することができます。そんな状態ではないのに、なぜ吸収されて免疫が向上するのかということは当たり前に気になるところです。胃で分解されないのに、βグルカンを摂ると免疫は向上します。となると、小腸ではないところから吸収されているのだろうということは簡単に推測できることです。
食物繊維は消化も吸収もされないと表現されるものの、この場合の消化は胃で、吸収は小腸です。消化されないまま大腸まで運ばれて、そこで腸内細菌によって分解されます。大腸にも吸収作用はあるので、大腸から血液中に取り込まれているということです。
腸壁から効率的に吸収されるためには、腸壁が綺麗な状態であることが条件となります。腸壁が汚れていると吸収されにくくなるので、便通がよいことは大切です。腸壁にはパイエル板という免疫細胞が集まった部分があり、これに有害物質が触れることで全身に免疫のサイン物質が広がっていくようになっています。この働きをよくするためにも腸壁が綺麗になっている必要があります。
便通がよくないと腸内細菌の悪玉菌が作り出す毒度(有害物質)が増えて、血液中に入った毒素を処理するために免疫細胞が働きます。そのために、外敵と戦うべき免疫細胞が減ることになり、これが免疫を低下させることになります。だから、免疫を向上させるβグルカンを摂る場合には、腸内の状態にも気づかうことが重要であるということになります。