喫煙すると太るのかやせるのか

「タバコをやめると太るから吸い続けている」と言う人がいます。タバコを吸っていると太りにくいのは事実です。しかし、だからといってダイエットのために喫煙をしていいとは言いません。その理由は喫煙が健康維持に害があるから、ということではありません。喫煙によって太りにくいとしたら、それは栄養不足に陥っているからです。
タバコにはニコチンやタールなど数多くの有害物質が含まれています。その有害物質を体外に排出するために、喫煙後には胃が大きく収縮します。「食後にタバコを吸うと胃が楽になる」とメリットのように言う人がいますが、これは胃が収縮して小腸に送り出されたために起こることです。
食後にタバコを吸うと、まだ充分に消化されていないのに胃が収縮して小腸に送り出されるということは、充分に消化されていないために吸収も低下します。そのために食べた量の割には太らないということになるのです。タバコをやめたら太るというのは、それまでに食べていた量が多かったからです。このことを知ってもらい、禁煙するときには食事の量にも気を使ってほしいのです。
喫煙によって太りにくいというのは普通のことであっても、食後に限らず、いつも喫煙しているような人の場合には、かえって太るということもあります。タバコに含まれる有害物質は身体を酸化させていきます。この酸化を防ぐために、抗酸化成分のビタミン、ミネラルが使われています。ビタミンは酸化して発生した活性酸素を元の正常な酸素に戻すために使われます。活性酸素を消去する抗酸化酵素を働かせるためにはミネラルが使われます。
ビタミンはエネルギー源の糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、たんぱく質(アミノ酸)を代謝のための成分に分解させるときに使われます。ビタミンが不足した状態では、代謝が低下するのです。また、細胞で代謝が行われるときにはミネラルが使われます。この両方の不足によって、代謝されなかったエネルギー源は、肝臓で脂肪合成されて、脂肪細胞に蓄積されていくことになります。
糖質と脂質の代謝には酸素が多く必要になりますが、喫煙によって肺から取り込まれる酸素量が減ります。これも代謝の低下によって太ることに拍車をかけているのです。
活性酸素、抗酸化物質については、このサイトの「健康用語事典」を参照してください。また、「体質改善」には活性酸素と抗酸化物質の関係が詳しく説明されています。バックナンバー(一覧を見る)を参照してください。