四十腰、五十肩なら六十は?

健康誌の編集者から「四十肩」の予防法を知りたいという問い合わせがありました。予防法は、今どきはWEBサイトで、いくらでも調べられるのに、わざわざ聞いてきた理由を尋ねると、「四十肩と五十肩の違いと、なぜ10年後に起こるか、という切り口の記事にしたい」という話でした。これには的確に答えておいたのですが、情報を伝えているときに気になったことがあります。それは、そもそも“四十肩”という言葉があるのか、ということです。
東洋医学の世界では、四十腰という言葉は使われていても、四十肩という言葉は使われていません。腰に負担がかかるような生活を続けていると40年ほどで強い痛みが出てくるということで、これは痛みというよりも炎症などを起こしていて、傷みが起こっている状態です。痛みは痛いことで、傷みは原因となる変化があって痛みが起こっていることを指しています。最近のメディアでは、この痛みと傷みが混同して使われているので、どちらの意味で使っているのかわかりにくくなっています。
五十肩は西洋医学的には肩関節周囲炎で、加齢に伴って肩の関節や筋肉、肩周辺の組織が硬くなって、炎症や痛みが起こるものを指しています。最近の座りっぱなしの生活、肩や首に負担をかけるパソコン作業、運動不足が肩関節周囲炎を10年も前に起こすようになっていることから、四十肩は現代用語と言えそうです。
ネット検索で“四十腰”と引いても、“四十肩”が先に出てくるほど四十肩が多く使われているのか、逆に四十腰が使われなくなっています。「四十腰、五十肩が正しい使い方ですよ」と話をすると、それへの反応として「では、六十は何か」という言葉が飛び出してきます。四十肩、五十肩と続いて、六十肩という言葉は使われていないのかと調べてみると、そのような言葉はないのですが、60代の痛みの話題でグルコサミンとコンドロイチンが必ずといって出てくるのは膝痛があるからです。このことからいうと、四十腰、五十肩に続くのは“六十膝”となりそうです。