塩分に気を使っても血圧が上昇する

「なぜ持ち帰りや外食の料理はおいしいのか」ということが、メディア関係者との懇談の中で話題にのぼりました。料理を考える人が頑張った結果、という簡単な話ではなくて、なぜの理由を解説する前にコンビニ、スーパーの店舗を回って、簡単な現場リサーチを実施しました。
ご飯をおいしく食べるためのお供は、どれも塩味が強いものです。塩味はおいしい食事の基本中の基本です。塩味は舌の表面の味蕾で感じるので、おいしく食べるためには料理した素材の表面に軽く振るだけでも充分です。それでも、塩を加えて煮たり炒めたりするのと同じように味わうことができます。だから、塩分によって血圧が上昇しやすい人には、料理の最後に塩を振る調理法がすすめられています。
店舗で買って持ち帰る弁当やおにぎり(おむすび)には塩が使われていますが、塩分は血圧を上昇させるということが知られていることから、しょっぱい感じの味付けにはなっていません。しかし、塩分は保存料の役割をしています。塩分を少なくすると、安全のためには食品添加物の保存料を使わなければならなくなります。保存料を使っていない無添加への関心が強いので、保存料も使いにくくなっています。それを解決するために使われているのが、塩飯です。
塩飯というのは、あまり聞き覚えがない言葉かもしれないのですが、コンビニやスーパーなどで販売されているご飯物の米飯に、白米ではなく塩飯が使われているものもあります。原材料表示を見れば塩飯と書かれています。塩飯は水に食塩を入れて炊いたものです。ご飯の中に食塩が浸透しているので防腐効果はあるのに、表面の食塩は少ないので、しょっぱくは感じません。むしろ適度な塩味がおいしさを高めてくれます。
店舗から持ち帰って食べるものなら持ち帰り弁当でもよいのかというと、その場で詰めたものには原材料を表示する義務はありません。だから、どんな食材なのか、どんな食品添加物が使われているのかということを知ることができません。
塩飯を使っている場合にも、塩分量は「食塩相当量」と表示されています。血圧上昇に関わるのは塩分の中のナトリウムなのですが、ナトリウムは表示されていません。厚生労働省による塩分摂取量の目標は男性が8g、女性が7gとなっています。食塩相当量が2gと書かれていると、「1日に摂っていい量の4分の1の量か」と思いがちですが、食塩相当量はナトリウムの量であり、ナトリウムは食塩の半分以下の量です。ナトリウム量から食塩量を計算するには2.54倍します。ということは2g×2.54で5gを越える量となることです。
本人は食塩の量を気にして、しょっぱいものは避けているつもりでも、中に食塩が浸透する調理法をされたら塩分の摂りすぎで、血圧を上昇させることにもなります。最近は外食でも塩飯の手法は使われてきているので、家でご飯を炊いて食べている人でないと、どうしても食塩摂取量が多くなりがちだということです。