夏は太るのかやせるのか

暑い季節には体温が上がり、汗をかき、食欲も低下することから“夏やせ”という言葉は長く使われ、多くの人が納得していました。ところが、エアコンが普及して、むしろ寒さを感じる場所があって、オフォスで膝掛けを使うのは夏場という時代になると話は違ってきます。
エネルギー代謝で使われる基礎代謝は全エネルギー量のうち70%ほどを占めています。そのうちの70%ほどは体温の維持に使われているので、“70%×70%=49%”となって、半分ほどは体温の維持に使われていることになります。寒い季節には体温を高めるために、より多くのエネルギーが必要で、暑い季節には少なめでよいということになると消費エネルギー量が減ることになります。その分だけ活動よりも蓄積に使われるエネルギー量が多くなって、太りやすくなります。もちろん同じだけのエネルギー量を飲食で摂っていた場合のことですが。
暑くなるほど冷たいものがほしくなり、ジュースや清涼飲料、アイスクリームやアイスキャンディーなどが食べたくなります。こういった血糖値を上昇させるものを摂ると膵臓からインスリンが多く分泌されるようになります。インスリンには肝臓で合成される脂肪酸の量を増やし、血液中の脂肪(中性脂肪)を脂肪細胞の中に蓄積させる作用があるので太りやすくなります。特に太りやすくなるのは甘いものと食事のタイミングが近いときです。食事をして体温が高まったから、これを冷やそうとして甘いものを摂ったら、脂肪の蓄積量を増やすことになります。
消化がよくないので、あっさりとしたもの、つまり糖質が多く含まれるメニューを食べることが多くなり、糖質制限とは逆の状態になっていることもあります。
暑いときにはシャワーで済まそうとする人も多く、シャワーだけだと、せっかくの入浴中の脂肪燃焼効果が得られなくなります。
そもそも暑いときには運動量が減り、ダイエット効果が高いウォーキングなどの有酸素運動の機会も減ります。ぐっすりと眠ることは成長ホルモンや脂肪分解ホルモンを多く分泌させて、寝ている間にやせる身体にしていけるのですが、暑くて熟睡できないということになると、その効果は充分に得ることができなくなります。
とはいっても汗をかいているので、それだけでやせそうな気がするかもしれませんが、汗は水分と塩分が出ているだけでなく、エネルギー代謝に必要なビタミンB群やミネラルも体外に排出されます。これらを補っておかないと、夏場に頑張って運動しても、なかなか効果が出ないということにもなります。