夕方に歩くと筋肉が増えるのか

有名タレントがMCを務める健康をテーマにしたテレビ番組で、夕方にウォーキングをすると筋肉が増えるということを紹介していました。MCはmaster of ceremoniesの略で、司会者というような意味で使われています。歩くのは筋肉がつきやすいというのは事実で、いつ歩くのがよいのかということは常に研究テーマとなっています。
できることなら短時間の運動で効果を高めたいというのは多くの人が望むことで、日本メディカルダイエット支援機構も“無理なく無駄なく”をモットーにしているだけに、効果的な運動法、ダイエット法については、よく質問されます。テレビ番組を見ていた他局のディレクターからも、本当に夕方に歩くのが最もよいのか、という主旨の質問がありました。
筋肉をつけるには成長ホルモンが必要で、起きている時間帯の成長ホルモンの分泌量の図を示して、夕方には成長ホルモンが多く分泌されるので、そのタイミングでウォーキングをすると筋肉が増えるというのが論拠とされていました。歩くだけで筋肉が刺激されるのかということですが、筋肉が増えるのは運動によって筋肉が傷つき、それが修復されるときに筋肉が太くなっていきます。歩くことは下半身にある70%ほどの筋肉が刺激されるのは確かなことですが、傷つくくらいの刺激となると走るか、必死になって早歩きしないと筋肉にかからなくなります。
もう一つ問題があると感じたのは、なぜ起きている時間帯の成長ホルモンの分泌量を示したのかということです。成人の場合には、分泌量が最も多くなるのは深夜の0〜2時の間です。起きている時間に筋肉が刺激されると、寝ている間に成長ホルモンを使って筋肉が増えていくメカニズムになっています。成長ホルモンが多く分泌されているときに運動をしないと筋肉が増えないということではないのです。
夕方の空腹時に運動をすると、血液中のブドウ糖が不足することから筋肉の中のグリコーゲンが分解されて、血液中にブドウ糖として放出されます。そのあとに食事をすると、肝臓で合成されるグリコーゲンが増えて筋肉の中に多く蓄積されていきます。
テレビ番組で取り上げられていた地域は肉、魚、大豆製品を多く食べている地域で、夕方のウォーキングの効果はあるとしても、運動後のたんぱく質摂取が重要ではないか、という話をさせてもらいました。