夕食前の空腹は“その場ダッシュ”で解消できる

メディカルダイエットの手法では、夕食前の空腹時に筋肉運動をすることをすすめています。筋肉運動にはブドウ糖が必要ですが、食事の前には血糖値が下がっていて、血糖(血液中のブドウ糖)が不足した状態になっています。この状態のときに運動をするとエネルギー源のブドウ糖を補うために筋肉の中に蓄積されているグリコーゲンが分解されて、血液中にブドウ糖が放出されます。グリコーゲンはブドウ糖を蓄積するための形で、ブドウ糖が複数結びついた多糖類の構造をしています。グリコーゲンの80%ほどは筋肉細胞の中に蓄積されています。
筋肉細胞の中のグリコーゲンが分解されて放出された後には、食事で摂ったブドウ糖が肝臓で優先的にグリコーゲンに合成されます。その分だけブドウ糖の量が減り、血糖値の上昇が抑えられるために膵臓から分泌されるインスリンの量が減ります。インスリンには肝臓での脂肪酸合成を進める作用があるのですが、夕食の時間帯はインスリンの分泌を促す自律神経の副交感神経の働きが盛んになっていて、脂肪酸合成が進みやすくなっています。そのメカニズムから、夕食前の運動がすすめられるわけです。
夕食前に運動をするといっても、なかなか時間が取れず、空腹を感じているときには、運動をするよりも何かを口に入れたいという気持ちになるのも、よくわかります。そんなときに、空腹を一瞬にして感じなくさせる方法として紹介しているのが“その場ダッシュ”です。ダッシュするだけの場所と気力がある人なら全力疾走してもらってもよいのですが、そうはいかないという場合には、ダッシュの勢いでその場で足踏みをします。こうすると筋肉の中のグリコーゲンが分解されて、血糖値が上がります。理屈は、空腹時の筋肉運動とまったく同じで、ブドウ糖は脳の満腹中枢を刺激して、空腹感を抑えるために使われます。一度は試してもらいたい方法としてセミナーなどで紹介しています。皆さんの前で実演をしながら。