大は“おお”か“だい”か

「大金持ちの大豪邸」と書かれていたら、「おおがねもちのだいごうてい」と読むのが普通です。後に続く言葉を見れば、読み間違いをしないのが大人というものです。ここに出てきた「大人」の“大”は“おお”でも“だい”でもありません。大が“おと”で人が“な”ではなく、大が“お”で人が“とな”でもなく、2文字で大人(おとな)となります。
「大人気」と書かれていたら、なんと読むのかということですが、大人が“おとな”と読むのなら「おとなげ」となりそうですが、この他に「だいにんき」という読み方もあって、前後の文脈がなかったら、どう読んでよいのかわからないことにもなります。
「大地震」は“おおじしん”と“だいじしん”の二つの読み方がありますが、意味合いが違っています。“おおじしん”は広辞苑によると「広域にわたり被害の大きい地震」で、“だいじしん”は「マグニチュード7以上の地震」と使い分けされています。辞書によっては、どちらも同じ意味にしているところもあるのですが、メディアの地震報道を見ると混乱した使われ方がされています。読み方の大御所(おおごしょ)であるNHKの使い方ですが、「ことばのハンドブック」によると“おおじしん”と読むことになっています。
「大舞台」は、単に大きな舞台を指すときには“だいぶたい”となり、活躍の場を意味するときには“おおぶたい”と、これは使い分けが明らかになっています。
読み方の原則としては、漢語が続くものは“だい”で、大家族、大歓迎、大企業、大規模、大逆転、大混乱、大自然などがあります。和語が続くものは“おお”となり、大暴れ、大忙し、大食い、大騒ぎ、大広間、大喜びなどがあります。あくまで原則であって、大御所、大袈裟、大掃除、大道具は漢語が続いているのに“おお”と読みます。間違っても“だいごしょ”と読んではいけないということです。