大人のための赤ちゃん用粉ミルク

粉ミルクというと母乳の代わりの赤ちゃんが飲むために開発されたものです。生後6か月以内を対象としたものと、離乳食を食べている6か月以降を対象としたものの2タイプがあります。赤ちゃん用のものだから赤ちゃんが飲むもの、赤ちゃんしか飲んではいけないものというイメージもありますが、随分と前から大人も飲んでいました。牛乳がなかったから粉ミルクで代用しよう、ということではなく、あえて粉ミルクを愛用していた大人がいたということです。
粉ミルクは栄養素がバランスよく含まれているので、消化・吸収の能力が低下して栄養摂取がうまくいかなくなってくる高齢者にはありがたい存在といえます。高齢になると腸内細菌のバランスが崩れて、善玉菌が増えにくく、悪玉菌が優位になりやすい状態になります。善玉菌が主にエサとしているのは糖類、乳製品、食物繊維ですが、そのうちの乳製品であり、善玉菌を増やすことによって悪玉菌を減らすことができます。というのは、腸内細菌は総数がほぼ決まっていて、善玉菌が増えると、それに押される形で悪玉菌が減っていくからです。
粉ミルクでネット検索すると「大人の粉ミルク」というキーワードがヒットします。これは大人も飲む赤ちゃん用粉ミルクのことではなく、初めに出てくるのは『大人の粉ミルク』という書籍です。この大手出版社から発行されている書籍の監修者は日本メディカルダイエット支援機構の相談役(元理事)でもある薬学博士です。
粉ミルクは栄養補給とともにダイエット効果、それもただやせるというのではなく科学研究に基づいて健康的にダイエットするメディカルダイエットの手法として使っています。実は粉ミルクはダイエット法の一つとして「粉ミルクダイエット」の名前で古くから知られています。どれくらい前のことなのかというと、年表に記載されているのは1984年(昭和59年)です。この年表は世の中に蔓延しているダイエット法や健康食品に警鐘を鳴らしている研究者が発表しているものですが、この粉ミルクダイエットは先ほどの『大人の粉ミルク』を発行した大手出版社の健康雑誌が初めて紹介したと書かれています。その粉ミルクダイエットの記事の監修者も日本メディカルダイエット支援機構の相談役の薬学博士です。
大手乳業メーカーで粉ミルクの研究をしているときの成果ですが、一時的なブームで終わることが多いダイエット法の中では珍しいロングランです。そのせいもあって、少子化の時代にも関わらず赤ちゃん用の粉ミルクは赤ちゃんの減少よりも販売数が落ちていません。少子化に対して高齢化が進んでいる分だけ粉ミルクを大人というよりも高齢者が飲んでいるということを示しています。
とは言っても、生後6か月までの栄養バランスが取れた赤ちゃん用の粉ミルクは飲みにくいという人もいます。それもあってか、森永乳業から大人のための粉ミルクが販売されています。商品名は「ミルク生活」です。
大人の場合には、すべての必要とする栄養素を粉ミルクだけで摂ることはできません。基本的な栄養素は補給できますが、粉ミルクにも弱点はあって、食物繊維は含まれていません。ご飯の代わりに粉ミルクにしている人もいるようですが、ご飯は糖質が摂れるだけでなく、いろいろな必要な栄養素も含まれているので、食べないではなく食べる量を減らして、それに粉ミルクをプラスするという摂り方を指導しています。