女性のほうが酒に酔いやすい理由

同じだけの飲酒量でも男性に比べて女性のほうが酔いやすくなっています。以前に1合の日本酒を飲んだら男性は2時間で分解できるのに女性は3時間かかるということを紹介しました。これは純アルコールにして20gを飲んだときの分解速度で、日本酒(15度)1合(180ml)はビール(5度)なら中ビン1本(500ml)、焼酎(25度)なら0.6合(110ml)、ワイン(13度)ならグラス1杯(180ml)、ウイスキー(43度)ならダブル1杯(60ml)となります。
なぜ女性は分解に時間がかかるのか、というと、肝臓の分解力が弱いからとよく言われます。しかし、それは正解ではありません。肝臓は体重の50分の1の重量があります。女性は男性よりも比較すると身体が小さいので、それだけ肝臓が小さくなっています。小さいほど分解能力は低いことになります。アルコールは体内の水分で割られる、いわゆる“水割り”によって薄められます。酔いの度合いは血液中のアルコール度数によって変わってくるので、水分量が多いほうが薄められて酔いは弱くなります。女性は男性に比べて10%ほど体脂肪が多いことから全体の水分量が少なくなっています。筋肉の中には水分が多くて、筋肉が多い人ほど酔いにくくなっているわけで、これらが女性のほうが酔いやすい理由の一つとなっています。
ここまで紹介してきたのは、あくまで日本人の男女差のことで、日本の男性と欧米の女性を比べると、飲酒量で戦えないことが多くなっています。というのは、アルコールは肝臓のアルコール分解酵素によってアセトアルデヒドになり、アルデヒド脱水素酵素によって最終的に水と二酸化炭素に分解されています。日本人はアルコール分解酵素の働きが弱くはないのですが、アルデヒド脱水素酵素の働きが弱くなっています。アセトアルデヒドは酔いをひどくする物質で、頭痛を起こすのも顔を赤くするのもアセトアルデヒドの作用で、二日酔いの原因物質とされています。日本人は悪酔いさせるアセトアルデヒドを分解する能力が低いので、アルコールのマイナス面が出やすくなっているのです。