学習障害1 発達障害では学習障害が最も多い

発達障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つに大きく分類されています。このほかにトゥレット症候群、チック障害、吃音(症)なども発達障害に含まれます。
発達障害の特徴が重なり合っている場合も多く、どのタイプにあたるのか発達障害の種類を明確に分けて診断するのは難しいとされています。年齢や環境によって目立つ特性が違うことから、診断された時期によって診断名が異なる場合もあります。
発達障害の人は、どれくらい存在しているのかというと、文部科学省の『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』(2012年)によると、発達障害の可能性がある小中学生は6.5%と発表されています。これは知的発達に遅れはないものの学習面や行動面に著しい困難を示すと担任が回答した児童で、担任の主観に基づく調査結果です。
また、調査によると、発達障害の可能性がある児童生徒のうち、校内委員会で特別な教育的支援が必要だと判断されたのは18.4%と5人に1人にも満たない状態です。しかも、発達障害の可能性のある児童生徒のうち38.6%が「いずれの支援も受けていない」という結果となっています。
早期発見が充分でないこともあり、実際には発達障害児は10%に達していると推定されています。海外の複数の調査では発達障害児の割合は14〜19%にもなっています。
発達障害の男女差は、前記の文部科学省の調査では男女比は2.4:1の割合となっています。海外の調査では男女比は4:1とされるデータもあり、男性の発症が多いとされるアメリカでは4.5:1との報告があります。
国内の調査では男子が女子の2.4倍という結果から、発達障害児が10%と推定した場合には男子で発見されているのは14%、女子では5.8%となります。一般には発達障害の男女差は7:3で男子が多いと言われていますが、それと合致した結果となっています。
三大発達障害の割合をみると、前記の文部科学省の調査では、学習面で著しい困難(学習障害)が4.5%、行動面で著しい困難(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害)が3.6%、学習面・行動面の両面で著しい困難が1.6%となっています。この1.6%は両方の困難が重なっているもので、合計する場合には8.1%で、これは6.5%よりも10%に近い数字となっています。これを見ると、学習障害が最も多いことがわかります。学習障害は外目ではわかりにくいことから多くはないように思われがちですが、実際には学習障害で悩んでいる子どもも多く、発達障害は生涯に渡って継続する特徴があることから大人になっても悩みは続き、そして親御さんにとっても一生涯続くことを覚悟しなければならない大きな悩みとなっているのです。