学習障害2 20年後には学習障害の人の活躍が求められる

厚生労働省が毎年発表している『厚生労働白書』の最新版(令和2年版)には20年後(2040年)の推計が示されています。その中で多くの注目を集めた高齢化率は35.3%にもなり、比較年の2019年の28.4%と比べると急激に高齢者が増えることがわかります。急激な高齢化は医療と福祉の充実が強く求められる状態であり、『厚生労働白書』では2040年の医療福祉従事者は最大1070万人と、全就業者の5人に1人の割合にまで増加するとして、新たな取り組みが強く求められています。
発達障害の人は10%ほども存在していて、男性に限れば14%にもなります。発達障害は生涯に渡って継続するとされていることから、少子高齢化が急速に進む社会においては、発達障害の人を活かすための社会システムの構築が欠かせないということは随分前から語られてきました。今回の5人に1人が医療福祉従事者という時代が迫っているという状況の中、発達障害の人の就業先としても絶対に必要になってきます。
しかし、医療と福祉の社会は完全にシステム化されていて、資格を有する専門家が主に働く場と認識されています。発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害ともに、対人関係や社会的コミュニケーション、行動や感情のコントロールが苦手で、現在の医療機関、福祉施設の中の、集団で専門性が求められる職種で活躍するのは大変なことです。
発達障害で活躍している人をみると、個人で能力が発揮できる職業、個人が中心となって少人数でできる職業が目立っています。発達障害の中でも学習障害の人は、行動面では困難を抱えていない人が多いこともあって、集団の中で気づかれにくいことはあっても、本人の悩みは行動面の困難(自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害)がある人とも変わりがありません。
学習障害は読む(識字障害)、書く(書字障害)、計算する(算数障害)の生まれつきの障害があっても、今の時代はITなどの先端機器を活用することで対応することも可能とあっています。また、個人でできる仕事、家族や友人でできる仕事を身につけることで対応できます。その仕事が医療と福祉に関わる分野であれば、今の子どもたちが20年後に活躍できる場所が急激に増えているということです。