学習障害90 学習障害は発達障害の誰にも起こり得る

発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害、学習障害に大きく分けられています。この分類が情報として広まっているために、学習障害というと自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害とは違うものと認識されることがあります。発達障害は自閉症スペクトラム障害注意欠陥・多動性障害、学習障害が重なって起こることもあることから、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥・多動性障害で学習障害が起こっている場合は、この重なった状態と思われることもあります。
しかし、実際には自閉症スペクトラム障害でも注意欠陥・多動性障害でも学習障害はみられ、それぞれの特性から学ぶことに困難が生じています。発達障害がみられない子どもの場合には、学習に要するエネルギーを100%として考えたときに、集中して学ぶための条件に20%が必要で、学習そのものに要するエネルギーが80%という状態を想定してみます。これに対して、自閉症スペクトラム障害は学習環境に慣れるために例えば40%が必要になるとすると学習に向けられるエネルギーは60%に低下することになります。環境に適合するために60%が使われる状態だった場合には、学習に振り分けられるエネルギーは40%と半分にもなってしまうことになります。
このような条件下で学習していたら、授業についていけないどころか、授業そのものが大きなストレスになって学ぶことができなくなるということが起こります。学べたとしても、試験の環境に慣れないために、せっかくの学習した結果が発揮できずに終わるということにもなりまねません。注意欠陥・多動性障害の場合には、落ち着いて座って学ぶことが負担になり、それを強いられることは強力なストレス下で脳を働かせることになり、学習のインプットにも、学んだことを試験で発揮するアウトプットでも持てる能力が発揮できないことにもなってしまいます。
学習障害の識字障害、書字障害、算数障害は学ぶためには徐々に克服していく必要がありますが、自閉症スペクトラム障害も注意欠陥・多動性障害も学ぶための能力を身につける機会を学校の学習とは別のところで得る必要があるということです。