学習障害94 学習表に従った学び方でよいのか

1年間に学ぶべき項目は、1週間のスケジュールに割り振られて実施されています。それぞれの子どもにとって初めに学んだほうがよい項目は異なっているはずで、初めに得意とする教科を学んで勢いをつけてから、学習に時間がかかること、苦手なことに取り組んでいったほうがよい結果が得られるということもあります。それとは逆に、初めに苦手なことや時間がかかることをこなして、疲れてきたり、集中力が弱まってきたときに得意な教科をこなしたほうが全体を通して成績が上がりやすいという場合もあります。
通常の学校教育は、総合的な能力を身につけることを目的としていることから、いわゆるゼネラリスト(generalist)となれるような総合教育を目指しています。しかし、得手不得手は誰にもあるもので、成績の凹凸があるなら、凹の部分は平ら(□)にすることを目指すものの、凸の部分を伸ばしてスペシャリスト(specialist)になろうという効率的な戦略を考える人がいるのも当然のことです。
初めから能力の凹凸がある発達障害という特性がある子どもの場合には、スペシャリストを目指して、周囲の人には負けない凸を伸ばすことに力を入れたいと願うのは、本人だけでなく、保護者にも、その周囲の人にもよくみられることです。「No. 1にならなくてもいい、もともと特別なonly one」という歌詞が有名が“世界に一つだけの花”のように、オンリーワンを目指すといっても、社会人になって活躍することを想像すると、オンリーワンであっても需要がなければ勝ち抜くことはできないだけに、オンリーワンであることと同時にナンバーワンでもあることが願われます。
何がナンバーワンで、さらにオンリーワンになれるのかという能力を見抜くためには、得意なことを徹底的に学べる機会が与えられるべきであって、現状の学習表のように1コマの時間が決まっていて、時間が来たら打ち切って、短い休憩時間を入れて、次に別の授業に移っていくという学び方をスムーズに受け入れられない子どもも少なくありません。海外では、今日は国語の日、明日は算数の日というように、集中して学べる組み立てにしている教育法を採用しているところもあります。これを今の学校教育で採用するのは難しくても、学習塾でならかなえることは可能です。