岡山は温暖で住みやすいというのは本当か

温暖な地域というのは、ポカポカとした日差しのイメージがあって、カーッと照りつける灼熱でもなく、冬も気温が下がったとしても寒くて仕方がないとか、家の周りに霜が降りているということはないと思っていたら……というのが日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、新たな活動地として加えた岡山で夏と冬を過ごしてみて発したことです。
岡山の気候というと多くの人が感じていること、特に岡山から離れた地域の人が抱いていることと同じだと思いますが、「ところが……」と理事長は続けます。ところが、とんでもない勘違いだと思ったとかで、夏には暑さを少しでも弱めるために日陰を求めて歩き、冬は日が当たるところを歩いてというくらいで、特に冬の最低気温は東北並みとなっていました。最低気温がマイナスの日が10日以上も続くのは山ならわからないでもないのですが、平地で瀬戸内海まで歩いていけない距離でもないところで連続マイナスは想像がつかなかったということです。
冬に思った以上に寒くなるのは日本海側の山陰地方に雪が降り、その寒気(“さむけ”ではなく“かんき”)がやってきます。何しろ中国地方は幅がなく、高い山もないので寒気は簡単に県境を越えてきます。四国の山地にも雪が降り、瀬戸内海の狭い部分をはさんで前後が寒い地域となっているのですが、日が昇ってくると急に気温が上昇してきます。
岡山の名物というと、吉備団子(きびだんご)を別とすれば、フルーツがあげられます。桃太郎のイメージから桃が知られていますが、ブドウも梨も柿も特徴的なものがあります。あたご梨や大内柿という名前は聞き慣れないかもしれませんが、その世界では高級品種として超有名です。岡山に暮らしていても、そうそう食べられないもので、ギフト用として並んでいるのを見るだけということも少なくありません。
理事長は、その産地の近くにいる特権で、さらに地元の方々に健康づくりを通じて交流しているおかげでギフト市場に回らないものが手に入ります。ギフト市場に回らないといっても、ギフト用は少しでも形が悪い、色のばらつきがある、傷がついている、場合によっては中身ではなくて箱などのパッケージの問題で地元では驚くほどの価格となっています。
ノルディックウォーキングで歩いている途中でプレゼントされることもあります。セミナーを無料でやっていると、申し訳ないと言って参加者の方々が自分で作ったものを持ってきてくれることもあります。へたにセミナー料をいただくよりも、無料にして物々交換ならぬ“話物交換”にしたほうがメリットありと言いたいくらいです。
「冬が寒く、夏が暑いという寒暖差、冬には1日のうちに寒暖差があるから、おいしいフルーツが育つ」という説明をした農業関係者もいました。その話を、いただきものをする農家の方に話したところ、「それは違う」といきなり否定されました。私たちも農業関係者の説には“なるほど”と感じていたこともあり、見事な否定の理由を説明してもらいましたが、その返答は実に単純でした。
昨年の夏の暑さは地元の人も経験したことのない状態だったということでした。そして、冬は何日もマイナスが続くことも初めてのこと、という話です。この裏付けを取るために、地域の多くの人に聞きましたが、どの方からも同じ反応がありました。
「寒暖差がフルーツをおいしくしてくれるというなら、今年は大豊作」という期待とともに揶揄するような言葉があり、専門家の話と地元の反応の違いは、これからも注意して受け止めていかなければならないと感じているところです。