市民スポーツは生涯スポーツと違うのか

市民スポーツという言葉を聞くと、上から押しつけられて実施するスポーツではなくて、市民の自主性に基づいて実施しているスポーツという印象が抱かれます。実施するエリアは市民意識からの盛り上がりで実施されるということで、地域で実施されるもの、つまり地域スポーツと感じている人が多いかと思います。この感覚からすると、市民スポーツは生涯スポーツと同じように感じるかもしれませんが、一生涯続けることができる生涯スポーツとは異なるものです。
市民スポーツの発祥地はドイツです。ドイツ語では「Internationaler Volkssportverband」といって、これは市民スポーツを指します。Volksは市民を指します。世界的には英語表現がされていて、市民スポーツを英語にすると「International Federation of Popular Sports」となります。
市民が実施する地域の健康づくりというと、運動に適した施設を自治体が保有していたり管理していることが多いことから、その地域の自治体の協力が絶対に重要となります。地域スポーツというからには、自治体の健康づくり活動とともに進めていくのが正しい方法と考えられ、自治体の主導で実施されるためには民間のパワーが非常に重要となります。
民間のパワーが重要ということでは、生涯スポーツも共通点があります。生涯スポーツは文部科学省によって定義された一生涯を通じて健康の維持増進のために実施するスポーツです。市民スポーツは国際市民スポーツ連盟によって、次の事項が定められています。①誰でも参加できること(競争したり、時間を制限したりしないこと)、②空気が新鮮な野外での活動であること、③自然や環境の保護という目的を尊重すること、④子どもや家族の参加を促進すること、⑤国際的な友情を育むこと、⑥これらの活動に参加した人を表彰すること。
市民スポーツの運動種目はウォーキング、サイクリング、スイミング/アクア・ウォーキング、スキーイング/スノーシューティング、スケーティング、インクライン・スケーティング、ローイング/カヌーイング/カヤッキングとされています。
競争しないというところが市民スポーツと生涯スポーツの大きな違いということもできます。その市民スポーツの日本の団体が一般社団法人日本市民スポーツ連盟で、ウォーキングのコース認定などを行う団体としても知られています。