年代で異なる有酸素運動の効果

高齢者のための有酸素運動としてウォーキングを実施していますが、ただ歩くのではなく歩き方を変えることによって心肺機能も足腰のパワーも高め、さらに認知機能を高めることができることから、まさに高齢者向けの運動としてすすめています。高齢者だけでの運動ではなく、もちろんメタボリックリンドロームが気になる中高年にも役立ちます。そこで高齢者と、その子供の世代もウォーキング教室には一緒に参加してもらうようにすすめているのですが、なかなか忙しい年代は時間を作ってきれくれません。そこで日本メディカルダイエット支援機構が自治体や医療機関、健康関係の団体に提案しているのが三世代でのウォーキングです。
三世代というのは、子供、親、祖父母のことです。ロコモティブシンドローム(ロコモ)というと、運動不足の高齢者を対象にしたもので、運動器の障害によって要介護になるリスクが高い状態を指しています。運動器の状態を把握して、状態に即した運動をすることが求められるわけですが、ロコモまで行かなくても、筋力の低下を感じてきたときから本来なら運動に取り組むべきです。三世代というキーワードを出したのは、親の世代でも運動不足から将来的にロコモになるリスクが高い人が増えているからです。それだけでなく、孫の世代である小・中学生でもロコモのリスクが高い、それどころか高齢者と同じようにロコモと診断されてもおかしくない子供たちもいるのです。
的確な有酸素運動は高齢者の認知機能の改善に役立つだけでなく、子供にも脳に充分に酸素を送り込んで、一つひとつの脳細胞から充分なエネルギー代謝を起こすようにすることができます。脳細胞の唯一のエネルギー源のブドウ糖は代謝成分のα‐リポ酸によって細胞内のミトコンドリアに取り込まれますが、α‐リポ酸の体内合成のピークは20歳であるので、子供世代は不足していません。不足することから積極的に摂らなければならないのは親世代、祖父母世代ですが、子供世代には充分に酸素を取り込んで、脳細胞の代謝を高めるために歩いてもらいたいのです。
子供だけで歩くのではなく、安全の意味も含めて親世代、その見守りの意味も含めて祖父母世代にも効果のあるウォーキングに取り組んでほしいのです。