後期高齢者が急増する町は歩いて認知症予防

昔話の桃太郎の始まりは「昔あるところにおじいさんとおばあさんがいました」ですが、現在では「いたるところにおじいさんとおばあさんがいます」となっています。そんな超高齢社会には昔話の最後は「めでたしめでたし」と言って終わっていいのかという強い思いがあります。この例として出したのは、高齢化率の話と、前期高齢者と後期高齢者の割合の話です。
日本全体の平均と地域の現状は大きな違いもあるので、平均の数字で話をされても困るという向きもあるでしょうが、まずは平均の話から始めます。日本全体の高齢化率は2017年には27.7%ですが、40%前後まで高まってしまった自治体もあります。よく紹介させてもらっている岡山県和気町の高齢化率は38.6%ですが、その割合に日本の平均が達するのは50年後です。言い換えると、和気町は全国平均の50年先を行っているということになります。
日本全体で前期高齢者と後期高齢者の割合が逆転したのは2018年3月のことです。これに対して、和気町は13年前に後期高齢者(75歳以上)の数が前期高齢者(65〜74歳)の数と逆転して、今後は後期高齢者が増え続ける一方となっています。和気町の住民が約1万4000人とすると、高齢化率から計算すると高齢者は約5400人となります。この半分以上が後期高齢者となると約2700人が、だんだんと認知機能の低下が進んでいく年代ということになります。
高齢者の5人に1人が認知症か軽度認知障害とされているので、これから計算すると和気町には1000人を超える対象者がいることになります。認知症予防というと、軽度認知障害にもなっていない人から対策を始めることを考えがちで、これは和気町では約4300人となります。軽度認知障害の50%は5年以内に認知症まで進むとされています。軽度認知障害の人のうち的確な運動、栄養、休養の実践によって改善させることができるのは30%、残りの20%は軽度認知障害のままとされています。認知症予防ということでは約500人が対象となり、合計で約4800人が認知症予防に取り組むべき高齢者といえます。
これだけ多くの方に気軽に実践してもらえることとなると、歩くことによる認知機能改善が一番です。ただ歩く時間を長くする、歩く距離を伸ばすということではなく、10分ほどでよいので早歩きをすることが大切です。高齢者になると早歩きが難しくなっていきます。そこで私たちはポールを使ったノルディックウォーキングを採用しています。ノルディックウォーキングは通常歩行に比べて運動強度が10〜20%も高いので、早歩きでなくても血流を促進して、認知機能を改善する効果が得られるウォーキング法となっているのです。

和気町公式サイト