心臓病の薬がコエンザイムQ10を減らすという指摘

心臓リハビリテーションの話をするときに、つながって出てくる話題にスタチン製剤とコエンザイムQ10の関係があります。スタチン製剤は日本で開発されたHMG–CoA還元酵素阻害薬のことで、高LDLコレステロール血症の患者に対して、コレステロールの合成を抑制するために使われます。コレステロールを体内で合成するメカニズムとコエンザイムQ10を合成するメカニズムは同じであることから、スタチン製剤を使うとコエンザイムQ10の合成量が減ります。コエンザイムQ10は細胞内のミトコンドリアの中で行われる代謝のための補酵素で、コエンザイムQ10なしにはエネルギー代謝が正常に起こらなくなります。
コエンザイムQ10は、もともと心臓病の薬の成分であって、それが今では食品の成分としても認められ、サプリメントにも使われるようになっています。コエンザイムQ10が不足すると心臓病の発症のリスクが高まることから、スタチン製剤を使って治療を行って、せっかく退院することができたのに、また同じ病気で病院に戻ってくるということもあります。そこで心臓リハビリテーションによってコレステロールの調整をはかると同時に、コエンザイムQ10の処方が行われるようにもなっています。
コエンザイムQ10は医薬品としては1日に30mgが摂取量の上限となっています。これに対してサプリメント成分としてなら100mgでも150mgでも使用できます。そこで心臓病の回復期にサプリメントでコエンザイムQ10を摂ることをすすめる専門家もいます。
スタチン製剤は、メバロチン、メバコール、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、クレストール、リバロ、リピトールというように製薬会社によって名称が異なり、処方されたときにはスタチン製剤なのかを確認しないとわかりにくくなっています。