快腸のための食物繊維の性質

食物繊維は単糖が鎖状に結合したもので、「消化酵素では消化されない食品中の難消化性成分の総称」と定義されています。食べ物のカスだとして栄養素としては評価されなかった時代もあるのですが、腸内環境を改善する機能が注目され、今では糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルに次ぐ第6の栄養素とも呼ばれています。
食物繊維は、水に溶けずに、そのままの形で腸を通過していく性質の不溶性食物繊維と、水を吸って膨らむ性質がある水溶性食物繊維に分類されます。不溶性食物繊維は野菜や穀類、豆類などに多く含まれ、硬く、ボソボソした食感があり、水溶性食物繊維はキノコ、海藻、果物(ペクチン)に多く含まれています。水を吸って膨らむと余分な脂肪や糖質の一部を吸着して吸収されないようにする性質があります。
水溶性食物繊維はキノコ、海藻、果物のほかにコンニャクも含まれています。ただし、凝固剤を用いて固形にしたコンニャクは不溶性食物繊維と同じ性質になり、咀嚼して嚥下したままの形で腸管を通過し、水溶性食物繊維のメリットが得られなくなってしまいます。ダイエット用に使われているコンニャクは、固まったものではなくて、コンニャク粉のことを指しています。
不溶性食物繊維は、セルロース(穀類、豆類、野菜)、ヘミセルロース(穀類、豆類、野菜)、ペクチン(野菜、果物)、リグニン(豆類、穀類のふすま、野菜、ココア)、イヌリン(ごぼう、きくいも、ゆり根)、キチン・キトサン(カニとエビの殻)が主なものです。水溶性食物繊維は、ペクチン(野菜、果物)、グアガム(豆科のグアガー)、アルギン酸(こんぶ、わかめ)、グルコマンナン(コンニャク)、キチン・キトサン(カニとエビの殻)が主なものです。
ペクチンとキチン・キトサンは不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方の性質があります。ペクチンは煮るとジャムになる部分の水溶性食物繊維のことです。