感染拡大から考える安全対策

新型コロナウイルスの感染を抑え込むために大型クルーズ船から降りられない人に対して、全員にPCR検査を実施すべきだと感染症の専門家が発言しても、現時点では実施されていません。海外では大型クルーズ船の乗船者(乗客乗員)全員の検査を実施していることから、なぜ日本で実施できないのか、という疑問も湧き上がっています。
日本の検査体制では横浜の大型クルーズ船の乗船者なら3日ほどで検査ができるはずとの報道もされています。また、民間の検査会社も使えば、もっと早く検査ができるとも報道されているものの、検査に必要な試薬などが不足していることが大きな妨げになっています。新型コロナウイルスが確認された段階で中国では検査に必要な装置や試薬などを大量に購入したために、日本に回ってくる分が不足する事態になったということも伝えられています。ここまで感染拡大をすると想像していなかったために、手遅れになってしまったと言われても仕方がない状況です。
検査が重要だという感染症なのに全員検査が実施されないのは、それをすると検査体制が不十分なので、むしろ船内に閉じ込められている期間が長くなってしまう、ということも言われています。しかし、感染者と一緒に長くいるという環境は感染を広め、重症化を進めることになるということになるので、どちらを選ぶのか、その判断は乗客の体調で判断するべきではないかと考えられています。
乗船者の全員検査をすると、他のところで集団感染が発生したときに対応できなくなる、という理由をあげている政府関係者もいるのは気になって仕方がないことです。
大型クルーズ船での感染者は、これまで乗客と乗員でしたが、検査のために乗船した検疫官にも感染者が出てしまいました。安全対策をして乗り込み、体力も免疫力も高いはずの検疫官が感染して発症したということは、これまで言われているよりも新型コロナウイルスの感染力が高いのではないかという不安も高まってきました。その観点をもって、対策を練っていかなければならない状況になってきているということです。