感染拡大から考える安全性と経済の天秤バランス

新型コロナウイルスの感染拡大による健康被害を抑えるための学校の休校、イベントの中止・延期、海外渡航の減少などによって経済の落ち込みは国内で済まず、世界規模にまで広がりました。休校や中止などによる保障のために国の支援が必要となり、国としても出が多く、入が少ないという状況を打開するには、経済の安定が重要になるという判断は理解できないことではありません。
しかし、経済を優先させるために、安全のほうを疎かにするわけにはいかないというのが当然の考えで、感染拡大を抑えつつも経済対策を行うのは政治的な判断になるはずです。医学や感染学の専門家は、政治判断がどうであっても、専門知識による判断をもって主張すべきところは主張するのが当たり前のことと考えられます。ところが、専門家会議の見解は、経済のことも考慮したために、結論が出なかったのではないか、と思われるような内容でした。
イベントの中止・延期を続けると経済的にはマイナスになっていくが、緩めてしまうとヨーロッパのような爆発的な感染のパンデミックを起こしかねないし、緩める決定をした人が責任を問われてしまいます。政府が緩めることを決定したら、政権維持にも影響を与えてしまいます。ということで、感染が拡大している地域は厳しい制限は続けることを要請して、まだ感染者が発見されていない未確認地域では緩和をすることも認めるという見解でした。
その未確認地域が都道府県レベルなら、わずかしかないことになります。市区町村レベルなら、感染者が少ない地域では、相当に未確認地域が増えていきます。その地域だけで行動しているということなら、それもあり得る判断だとは思いますが、県境を越え、生活範囲では普通に地方自治体を越えて行動する実態からすると、自治体に任せて大丈夫ということにはならないはずです。任せられた自治体が責任を取れるとは思えないからです。
そもそも専門家会議の見解は、2週間の封じ込め対策では結論が出せなかったので、もう1週間だけ様子を見て、それで判断するということだったわけですが、1週間前と変わりがない見解でしかなかったということです。