感染拡大から考える感染リスクの勘違い

桜の満開を迎えた東京の上野や新宿御苑、目黒川は新型コロナウイルスの感染防止のために外出自粛が求められる中でも多くの人が出歩きました。普段から混雑している渋谷も原宿も若者で溢れかえっていました。それだけでなく全国の観光地でも大規模スポーツイベントでも、大阪府と兵庫県の往来自粛の中にあって危険とされた大阪のライブ会場まで若者だけでなく、多くの人が押しかけていました。
メディアの取材には「密室ではないし、空気感染しないので大丈夫」という声が多く返されていました。また、「感染者はどこにでもいるので、ここだけが危ないわけじゃない」という声もありました。
政府の専門家会議では、3大リスクを提示して、換気の悪い密閉空間、手の届く範囲に多くの人がいる、近距離での会話や発声があるという条件のうち3つの条件が同時に重なる場が感染リスクが高いことを示しています。これを受けて、外なら換気はいいし、離れていればよいという考え方をして、平気で外出をしているのかもしれませんが、これは感染クラスターを防ぐための方法を示しただけであって、3条件を守っていれば感染しないという意味ではないのです。感染クラスターを防ぐことができる3条件の場所に行く移動方法も問題で、家族だけで自動車で移動するなら安全であっても、混雑した電車での移動は3条件が同時に重なっています。
「新型コロナウイルスは空気感染をしないから大丈夫」との声もありましたが、接触感染は間違いなくするので、多くの人が触れる場所は危険な感染源です。
オーバーシュート(爆発的な患者急増)のリスクは依然としてあるということを示されても、オリンピック聖火の火を移した復興の火が展示された仙台では、行列、密集しての記念写真撮影ということが起こりました。密閉空間では体温測定、マスク着用などが徹底されても、外では徹底することは不可能で、一瞬にして接触感染をする危険があるのに、まだまだ理解されていないということが、今回のことでよくわかりました。