感染拡大から考える高リスクの高血圧

新型コロナウイルスの感染リスクは若い人は少なく、高齢者はリスクが高いと言われてきました。感染者数が少ないときには、ある集団だけに多く発声するというのは、よくあることです。集団で感染するクラスターが知られてきたときに、そのクラスターは高齢者が多く集まるところだと、高齢者ばかりの感染が取り上げられて、「感染者=高齢者」というイメージにつながります。院内感染で基礎疾患を持っている人の感染が増えているときには、基礎疾患がある人が危ないということが広まり、基礎疾患がなければ大丈夫というイメージが広がりました。
感染者が増えるにつれて若い年齢層の感染発見が進み、今では新たな感染者の半分ほどが50歳未満ということになり、本当にリスクが高いのは、どんな人なのかということに関心が移っています。あくまで海外の例ですが、感染者数が極端に多いことから、これを例に検討すると何が危険なのかが見えてきました。
高齢者でなくても基礎疾患(高血圧、糖尿病、心臓病、脳血管疾患)がある人は感染リスクも重症リスクも高くて、その中で最も死亡リスクが高かったのは高血圧の患者でした。高血圧になると免疫が低下するということは、これまではあまり言われてこなかったことです。基礎疾患で免疫低下が明らかにされているのは糖尿病です。糖尿病では、血液中で高濃度になったブドウ糖が赤血球をくっつけることになり、毛細血管を通過しにくくなることから血流が低下します。免疫細胞は血液中をパトロールしているので、血流が低下すると免疫細胞の到着が遅れて、その分だけ免疫力が低下することになるという説明をされています。
高血圧は血流が低下していて、その状態で血液をスムーズに流れさせるために、心臓の圧力が強くなり、動脈の弾力性も低下して、動脈にかかる圧力が強まります。これが高血圧ですが、血管の弾力がよくないと、やはり血流が低下して免疫力が低下することが考えられます。