摂るタイミングがわからない健康食品

α‐リポ酸とコエンザイムQ10については、摂取タイミングが異なるのに、一つの製品に両方の素材が使われている、という話を前に紹介しました。α‐リポ酸はブドウ糖を細胞のミトコンドリアで燃焼できる形のアセチルCoAに変換する作用があり、コエンザイムQ10はミトコンドリア内での燃焼を促進する補酵素となっています。この機能の組み合わせは一見すると効果がありそうな感じですが、摂取タイミングが異なっています。
摂取タイミングが異なるものを、それと違ったタイミングで摂ったら、効果が出なくなります。そんなもったいないことを、実は多くの人がやってしまっているのです。
α‐リポ酸は胃液で分解されるので、胃液が多く分泌されていない空腹時(食事と食事の間の時間)に摂らなければなりません。コエンザイムQ10は脂溶性成分で、胃の中に脂肪があるときに摂らなければなりません。この二つが組み合わされたものは、いつ摂ればよいのかがわからないことになります。効果を得るためには、空腹時と食後の両方に摂らなければならず、2倍の量が必要になってきます。多くの量を摂らせるのが目的なら、これはわからないことではないのですが。
このほかにも、摂取タイミングが異なる組み合わせがあります。ミネラルは基本的には食事のためのサプリメントなので、食後に摂ることで吸収率が高まります。しかし、カルシウムだけは胃でイオン化されてから吸収されるので、食後では胃液が食べたものの消化に使われて濃度が下がっています。食後では吸収率が低下してしまうので、カルシウムは空腹時に摂るべきものとなっています。
以前に示したキチン・キトサンは脂肪を吸着して吸収を阻害するので、食後に摂るものです。それに対して抗酸化成分は空腹時に摂ることで吸収率が高まります。こういった知識があれば、変な商品が見分けられます。しかし、そこを意識しないで摂っているために、実に無駄なことをしている人が多いということです。