摂取タイミングが異なるサプリメント素材が組み合わされている

サプリメントは摂取タイミングが異なると、分解されたり、逆に吸収されなくなって、せっかくの成分の有効性が活かされなくなることがあります。その例として、ここではヒトケミカルのR‐αリポ酸とコエンザイムQ10をあげて説明します。
空腹時に摂ることで効果があるサプリメント素材にα‐リポ酸があります。この成分はブドウ糖がアセチルCoAに変換された後、これを細胞内のミトコンドリアに取り込む働きがあります。一般にはα‐リポ酸と呼ばれていますが、体内で活用される天然型のR‐αリポ酸と、体内では使われない非天然型のS‐αリポ酸があります。本来ならR‐αリポ酸だけを摂りたいところですが、R‐αリポ酸は胃液で分解されるので、多くのサプリメントではR‐αリポ酸とS‐αリポ酸を組み合わせたものが使われています。これによって胃液で分解されなくなるわけではなく、分解されにくくなるだけです。
ミトコンドリアはブドウ糖のほかに、脂肪が分解された脂肪酸を取り込んで燃焼させ、エネルギーを作り出している小さな器官です。細胞は全身に約60兆個もありますが、一つ当たりの細胞の中には100〜3000個のミトコンドリアがあり、平均すると2000個ほどです。その総量は全体重の10%にもなります。それだけエネルギーを作る重要な器官ということです。
α‐リポ酸はブドウ糖をエネルギーにするので食事の前後に摂るものと考えられがちですが、胃液で分解されるために、胃液が多く分泌されない空腹時に摂るべきものとなっています。α‐リポ酸は医薬品成分だったものが2004年に食品としての使用も許可されてダイエット目的のサプリメントに使われるようになりました。
同じく医薬品からサプリメント素材になったものにコエンザイムQ10があります。コエンザイムQ10は2001年に許可されました。コエンザイムQ10は脂溶性で、胃と腸の中に食事で摂った脂肪があることで吸収されやすくなります。また、食後には十二指腸から脂肪を分解する胆汁が分泌されるので、これによっても吸収されやすくなります。コエンザイムQ10はミトコンドリアの中でブドウ糖と脂肪酸を燃焼させる補酵素となっています。補酵素は細胞を働かせる化学物質である酵素の働きを補助する役割をしています。英語で酵素はエンザイム(enzyme)、補酵素はコエンザイム(coenzyme)といいます。
この働きからα‐リポ酸とコエンザイムQ10を摂ると燃焼効果が高まるということで、両成分が組み合わされたサプリメント商品もあります。しかし、摂るタイミングが異なっているので、この組み合わせはおかしいことになります。
α‐リポ酸とコエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。