故障している歩数計をほしがる人がいる

計測装置は精度が高いもののほうがよいに決まっていると思って、私たちは複数の歩数計をつけて歩いています。複数のものを比べることで精度が高い歩数計がわかり、自分の歩き方に合った精度が高い歩数計をみつけることができます。精度が低いものはお蔵入りにするのではなく、自分がつけている歩数計を信じないようにという戒めの意味で、精度が低いものや、これは故障しているに違いないというものも、あえて使っています。保証期限が過ぎたものなら精度が狂うのはわかるのですが、中には買ってきたばかりでも大きく歩数が違って表示されるものもあります。
その話をウォーキングのイベントでして、歩数が多く表示されすぎる歩数計を見せたところ、「売ってください」と言われて、びっくりしました。1日に8000歩しかしていないのに1万5000歩が表示されるものはまだよいほうで、同じ日に2万5000歩を超えて表示されたものも持ち歩いているのですが、その3倍以上もカウントされるものをほしいというのです。
どうして、そんなことを考えるのかと聞いたところ、「1日に8000歩を歩くことを医者に言われているけれど、とても歩けないので」とのこと。3倍にもカウント表示されるなら3000歩を歩けばよいのでは、ということでしたが、どれくらい歩いたかの記録を診察の日に見せるといいます。その歩数計はカウント表示されるだけで記録は残らないタイプなのですが、携帯電話で写真を残して見せればいいとの返事でした。
こういった申し出は、もちろん断っています。少ない歩数しか歩いていないのに多く表示されたら、だんだんと歩かなくなってしまいます。歩くことを医師からすすめられるのは高血圧や糖尿病、脂質異常症が多く、どれも治療には運動が重視されています。運動をしているというために誤った歩数記録を示したら、医薬品の効果が現れていないと誤った判断をされて、強い薬を出されることにもつながりかねません。運動の効果を高めるために、運動と食事のタイミングを指導するのはメディカルダイエットが得意としているところです。また、同じ歩くことであっても血糖値と中性脂肪値では効果的な歩き方が違い、それについてはインターバルウォーキングで指導しています。
歩き方を途中で変えることで効果が上げられることから、歩数の記録は大事で、だから私たちは複数の歩数計をつけて精度が高いものに合わせて指導するようにしているのです。