新型コロナウイルスの変異種の感染拡大の可能性

新型コロナウイルスの感染拡大を感染者数で判断するなら、今は3回目の拡大ということになり、第3波と一般には表現されています。第1波、第2波、第3波と、だんだんと高波になっていくのを見ていると、「一都三県だけの非常事態宣言だけでよいのか」という声があがってくるのも当然のことで、一気に非常事態宣言のエリアが拡大されました。今の第3波が収束するであろうと期待されているのは世界でワクチンが使われ始め、日本でも2月から3月にはワクチン接種が始めるからです。
ワクチンの効果については、インフルエンザでも明らかなように、現在のウイルスに対して有効なものであって、新種には効果が確認されているわけではありません。効果がないといっても、インフルエンザはA型、B型の2種類のタイプに大きく分けられていて、その同じタイプの中で変異をしています。変異をしても基本的なタイプが異なるわけではないので、以前に効果があったワクチンでも変異種に効果があるということです。
ところが、新型コロナウイルスの変化は、インフルエンザとは比較にならないほど激しくて、さらに健康被害も程度がまるで違っています。イギリスで確認され、拡大を続けている変異種は日本では年末に感染が確認されていて、従来型よりも70%も感染力が高く、これまでは感染が少なかった子どもにも20歳未満の若者にも感染しやすいことが現段階でも報告されています。
70%ということは、これは実効再生産数では0.7のプラスとなります。0.7というと少ない数値のように見えるかもしれませんが、実効再生産数について理解すると、そんなことも言っていられなくなります。実効再生産数は1人の感染者が次に平均で何人に感染させるかを示す指標で、これまでの最高が1.33で、“勝負の3週間”で一時期は1.02まで下がったものの、3週間後には1.11まで戻ってしまいました。1.33に0.7をプラスすると2を超えてしまいます。
実効再生産数が2というのは1人の感染者から2人に感染するということで、その2人が感染させるのは4人になり、その次からは8人、16人、32人、64人……と拡大していきます。1日に5000人も感染者が確認された日をスタートとした場合には、次の感染で1万人、その次が2万人、4万人、8万人、16万人、32万人、64万人、128万人、256万人、512万人、1024万人、2048万人、4096万人、8192万人、1億6384万人と計算上は人口を超えます。
こんな拡大の仕方はないはずですが、その危険性も秘めているのが変異種です。次々に変異種が確認されているだけに、もっと危機感をもって当たらなければならないということです。