新型コロナウイルス感染者の集中で拡大は抑えられるか

命の選別とされるトリアージは、新型コロナウイルスに感染して重症化した人に対して行われます。新たに対応できる医療スタッフ、医療機器、医薬品が1人分しかない病院に2人の患者が搬送されたら、どちらの患者に医療資源を投入するかの選別をしなければなりません。今現在、治療を受けている重症患者を一つランクを下げた治療に移して、2人分を確保するという方法もあるものの、移すための中等症のベッドがあいていないということもあります。さらに中等症患者を軽症に移すかホテル隔離に変更するという方法もあるものの、その隔離のためのホテルが足りない状況があります。ただ隔離をすればよいわけではなくて、しっかりと専門家が対応できる環境でなければならないので、まだまだ不足は解消されてはいません。
医療スタッフの不足は、受け入れている病院が分散化しているために効率がよくないことがあげられます。一時期、東京都内の公立病院をコロナ感染専門病院にして、ここに医療スタッフ、医療機器などを集中させることが提案されたことがありました。その検討に時間がかかっているうちに、病院の改装や移動をしている状況ではないというところまで進んでしまいました。
こうなると押し出し式に隔離ホテルの代わりになるところを探すことが重要になってきますが、その先としてオリンピックの選手村が検討されたことがあります。別々のホテルに隔離しているよりも一定の地域に集中させることで管理しやすく、感染者が出た場合でも素早く対応ができます。選手村となるマンションは約1万室、居住人数では1万8000人とされています。これだけの数があり、今は使われていなくて、このまま感染拡大が続いたらオリンピックは開催されないのではないかと言われる中、早急に検討、対応をしていれば隔離は大きく進んでいたと考えられています。
医療崩壊が目の前に迫っている状況では間に合わないのかもしれませんが、さらなる拡大、変異種になる新たな感染も予想される中にあっては、まだまだ着手すべきことは、いくらでもあるということの象徴とされていることです。