旅は道連れ“要はお酒”

「旅は道連れ世は情け」は、旅は道連れがあるのが心強くて、お互いに思いやりを持つのが大切だ、という意味です。この場合の旅は何も旅行に限った話ではなくて、人生においても人情をもってお互いに仲良くすることが大切だということを指して使われています。お互いに仲良くするためには、きっかけが必要で、そのきっかけづくりに直結するのがお酒です。仲良くするという目的もなしに、とにかく旅先の楽しみといえば、それぞれの地方の特徴的なお酒を飲むことだという人も少なくありません。
先日、ご一緒したサイクリングの達人は、地元のお酒を楽しむために、自分の好みのおつまみを持参していました。本来なら地元のお酒と地元の料理の組み合わせが楽しみで、お酒が地元の料理を生み出し、その料理が新たに酒を生み出すという考えがあります。おつまみの持参はどうなのかと考えることもあるのですが、お酒と料理を楽しんでから部屋に戻って、さらにお酒を楽しむためには、好みのおつまみは必要だという考えもありかもしれません。
“要はお酒”といっても、酒なら何でもよいというわけにはいきません。純米酒は米と米麹と水だけで作られているもので、純米酒でないものには何が加えられているのかというと醸造用アルコールです。純米酒といっても、原酒はアルコール度数が20度(%)ほどですが、一般の日本酒は15度で、この度数にするために水を加えています。水が加えられていないのは原酒です。純米酒でないものも同じだけの水が加えられているのかというと、醸造用アルコールの度数は100度、つまり100%アルコールです。これに味付けの糖類やアミノ酸などが加えられています。アルコール度数が高いものを加えると、それだけ水の量が多くなります。
火入れをすると味が変化するので、加熱していない生酒を選ぶ人も少なくありません。生貯蔵酒は加熱しないで貯蔵して、出荷する前に加熱をしたもので、生酒のように冷蔵保存する必要がないものです。