日本三大名所はランキングではないのか

日本三大○○というランキングは、日本人は大好きで、誰が見ても1位、2位、3位が明らかになっているものは別として、ランキングはつけにくいものの“三本の指に入る”というのは数多くあります。日本三景といえば、松島(宮城県松島町)、天橋立(京都府宮津市)、安芸の宮島(広島県廿日市市)で、これには異論はないはずです。クイズ番組でも、これが正解となっています。三名園は偕楽園(茨城県水戸市)、兼六園(石川県金沢市)、後楽園(岡山県岡山市)で、これも異論はありません。また、三大夜景といえば、函館山(北海道函館市)、摩耶山(兵庫県神戸市)、稲佐山(長崎県長崎市)から見る夜景となります。
三名山というと、富士山(静岡県・山梨県)、立山(富山県)、白山(石川県・岐阜県)ですが、この順番が山の高さだと思っている人もいます。しかし、富士山は3776m、立山は3015m、白山は2702mで、三山だけを比べると高さ順ではあるのですが、国内の山で富士山に次ぐ高さは山梨県の北岳(3193m)、長野県と岐阜県の奥穂高岳(3190m)です。三名山の一番目に富士山が出てくるので、高さランキングと勘違いされがちです。名山を定義づけるのは難しいものの、美しくて、登山に向いていて、多くの人に愛されているということでよいのではないかと思います。
全国各地の名所の中には“がっかり名所”というものもあって、日本三大がっかり名所といえば、どちらが一番かのランクはつけずに、札幌の時計台と高知のはりまや橋は、ほぼ意見が一致しています。どちらも現地に行った人の感想は「こんなに小さいの」です。では三番目は、どこなのかというと、ここに“おらが町”の感覚が出てきて、沖縄の守礼門、長崎のオランダ坂、同じく長崎のめがね橋、名古屋のテレビ塔、京都タワーなどがあげられます。
三大名所に自分のところを入れたがる気持ちはあっても、がっかり名所はないのではと思っていたら、自虐感覚なのか、案外と自分のところを入れたがる人は少なくありません。