日本人のインスリン分泌が少ないのは体質か

日本人はインスリンの分泌量が少ないと紹介しましたが、では、なぜなのかという疑問は当然のように湧いてきます。インスリンに脂肪を蓄積される働きがあるということは、脂肪を多く摂る生活をしていると、それを脂肪細胞の中に蓄積させる働きも高まっていきます。欧米人の現代文明はヨーロッパではイギリス、ドイツ、フランスで開けてきましたが、この寒い地域で生き延びるためには動物性脂肪は必要で、どんどんと脂肪を溜め込める身体になっていったと考えられます。
日本人は歴史的に脂肪の摂取が少なかったので、インスリンを多く分泌させる必要がなかったところに、急に多くの量を食べるようになったことからインスリンが多く必要になってきました。食事量が増えて、脂肪も増えたからといっても、50年や100年で急にインスリンの分泌量が増えるようなことは起こりません。その変化には100年や200年では足りません。インスリンを分泌させる能力は低いままなのに、インスリンを出させるような食事の量が増える一方となっては、インスリンを分泌させている膵臓に負担はかかるばかりです。
膵臓は働きすぎても痛みや疲れを感じることはなくて、ブドウ糖と脂肪酸が血液中に増えているときには、ずっと働き続けています。そして、働き続けて限界に達すると、急に働きが弱まってしまい、インスリンの分泌量が減ってしまいます。そのためにインスリンが細胞の中にブドウ糖を充分に取り込むことができなくなり、血糖値が上がったままになります。これが糖尿病の始まりです。
となると、インスリン不足になる糖尿病を予防するには、そして改善するにはブドウ糖が多く含まれた糖質の量を減らすことだけでなく、脂肪の取りすぎも抑えないことには対応できないことになります。場合によっては、脂肪が多い肉を食べ、料理に脂肪を多く使ったことで糖尿病になることも当然のように考えられるわけです。
インスリンが欧米人の4分の1しか分泌されない日本人が、糖尿病を改善させようとしたら、減らすべきは糖質よりも脂質(脂肪)です。ブドウ糖は、すぐにエネルギーになる重要なエネルギー源であり、エネルギー不足になると膵臓の働きも細胞の働きも高まらなくなってしまいます。脳の唯一のエネルギー源もブドウ糖です。糖質のご飯などを減らせば血糖値は下がるものの、そのために身体の機能が低下してしまったら、糖尿病で恐ろしい合併症の予防ということではマイナスにもなってしまうのです。だから、減らすべきは脂肪だということ是非とも知っておいてほしいのです。