日本人の健康は魚食のおかげか

日本人は魚を食べて健康の基本としてきたのに、肉の摂取量が増えて、それが健康度に影響していると言われています。日本人は魚の摂取量が多いものの、徐々に減少して、それに対して肉の摂取量が増えてきて、ついには2007年に肉の摂取量が魚の摂取量を超えました。それ以降は、魚の摂取量は減る一方、肉の摂取量は増える一方です。この数字を見ると、日本人は長い歴史の中で魚を多く食べてきた印象があり、ここまで平均寿命を延ばしてきたのは魚を多く食べてきたからだと思われがちです。しかし、日本人は、それほど魚を多く食べてこなかったということを日本メディカルダイエット支援機構の理事長が話していました。
理事長の話の出どころは、お魚博士です。日本人が魚を多く食べるようになったのは実は終戦後(第二次世界大戦後)のことで、それまでは魚も多くの量は食べてきていませんでした。日本人が魚を多く食べるようになったのは、冷蔵流通が盛んになった昭和30年(1955年)のことで、冷蔵流通が充分でなかった時代には海や川の近くか、都市部でしか自由に魚を食べることができないという状態がありました。理事長は子供のころは父親の仕事の関係で新潟県の山奥で暮らしていて、魚を食べたいときには村の魚屋さんに注文して、都市部で買ってきてもらうという状態でした。
そのときに、今でいうたんぱく源として摂っていたのは、肉は少なく、魚も少なく、案外と多く摂っていたのは鯨(くじら)肉でした。鯨は海の中にいても哺乳類です。動物性食品に分類されていますが、食べているのは魚なので、鯨の肉の中には魚に多く含まれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。現在の栄養学では、アザラシの肉を食べているイヌイット(エスキモー)の人は肉を多く食べているものの不飽和脂肪酸を多く摂っているから、肉の食べすぎによる健康被害は起こりにくいと言われているのです。これは鯨肉でも同じことです。
日本は国際捕鯨委員会を離脱すると発表しましたが、商業捕鯨によって日本人が食べられる鯨の量が増えて、これは日本人の健康を支えることになると考えられています。離脱の理由は、この他に鯨が魚を大量に食べていることによって、大切な日本人の健康づくりの食糧源を奪っていることもあげられています。