日本人の食事摂取基準で増えた食物繊維の量

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」では、エネルギー源のバランスが変更となりました。2015年版では、たんぱく質は男女ともに13〜20%とされていましたが、2020年版では40歳代までは同じものの、50〜64歳は14〜20%、65歳以上は15〜20%となりました。脂質の割合は2015年版から20〜30%とされていますが、そのうち動物性の飽和脂肪酸は7%以下にして、魚や植物油に多い不飽和脂肪酸を多く摂ることを示しています。そして、2020年版では飽和脂肪酸が3〜14歳は10%以下、15〜17歳は8%以下となりました。
炭水化物はエネルギー源の糖質と消化・吸収されない食物繊維で構成されているので、エネルギー源のバランスとしてあげられているのは糖質の量ということになります。その摂取の割合は、たんぱく質と脂質を除いた分で、50〜65%の割合とされています。健康やダイエットのために糖質制限が採用される時代には摂りすぎとも思われがちですが、糖質はすぐにエネルギーになって全身を働かせるために必要なもので、脳の唯一のエネルギー源であるために、それなりの量は必要だということを示しているわけです。
食物繊維はエネルギー源ではないものの、炭水化物の摂取量とともに示されていて、1日の摂取量は3〜5歳が8g以上、6〜9歳が10g以上、10〜11歳が13g以上、12〜14歳が17g以上と、ここまでは男女ともに同じとなっています。これ以降は男女別に示されていて、15〜17歳の男性が19g以上、女性が18g以上、18〜64歳の男性が21g以上、女性が18g以上、65歳以上の男性が20g以上、女性が17g以上となっています。
食物繊維は便通をよくするとともに、消化を遅らせて吸収を遅らせる機能があることから糖質、脂質の吸収を抑制することにもなります。その中でも多く摂りたいのは水分を吸って膨らんで、粘度が高まる水溶性食物繊維で、海藻、きのこ、果物に多く含まれています。