日本人は血液温度が低くて脂肪が固まりやすい

日本人の血液の温度が37〜38℃と紹介したところ、「日本人以外の血液の温度は高いのか低いのか」という質問が寄せられました。日本人の血液温度は低くて、代謝がよい欧米人やアジア人でも北方系の人は39℃ほどにもなっています。代謝というのはエネルギー源のブドウ糖と脂肪酸を細胞の中のエネルギー産生器官のミトコンドリアのTCA回路でエネルギーを作り出す働きのことです。この代謝によって欧米人と北方アジア人は脂肪酸をエネルギー化する能力が高いことから体温も高くなります。体内で1日に発生するエネルギーのうち約70%は熱エネルギーとして使われているので、エネルギー産生の能力が高いということは、それだけ体内で発生する熱量が多くなり、血液の温度が高くなります。
この血液の温度の高さが、肉を多く食べても欧米人などは血液がドロドロになりにくく、日本人は肉を食べると血液がドロドロになりやすいという体質の違いを生み出しています。肉食として食べられる牛、豚、鶏の血液温度が40℃ほどあります。これに対して最も血液温度が高いのは羊で44℃もあります。この温度で飽和脂肪酸は溶けています。血液温度が高い欧米人などは動物の脂肪酸が溶けやすいので、血液中で固まりにくくなっています。だから、肉を多く食べても健康被害は起こりにくくなっているわけです。
それに対して日本人は血液温度が低めで、欧米人よりも脂肪酸が固まりやすくなっています。そもそも脂肪酸をミトコンドリアに取り込んでエネルギー産生するために必要なヒトケミカルのL‐カルニチンの体内量は欧米人などよりも日本人は少なくなっています。L‐カルニチンは肉類に多く含まれているので、肉食が多い欧米人などは体内にL‐カルニチンが多く、血液中の脂肪酸をミトコンドリアに取り込む能力が高く、それだけ脂肪酸を体熱に変化させる能力も高いことになります。その能力が低い日本人は、どうしても冷えやすく、血液が固まりやすくて動脈硬化のリスクも高くなっているのです。