早く歩かないと早く歩けなくなる

ダラダラ歩きをしている人が“普通に歩く”だけでも脚や腰、腹筋などが使われていることがわかります。ダラダラ歩きでも普通歩行でも移動できることには違いがなくて、健康づくりのために一定の時間の歩行をすすめられている人は普通歩きをするだけでもよいのかもしれません。普通歩行から、さらに早歩きをすると、もっと筋肉が使われることを実感することができます。
普通歩行までは脚から上体、頭まで身体をまっすぐにして、上から吊られている感じのモデル歩きでも歩くことができます。ところが、早歩きとなると、少し前傾姿勢にならないと速度を高めることができません。前傾姿勢になって前に倒れる勢いを使って歩くようにすると、腹筋と背筋が締まって、足で後方に蹴り出すようにすることで脚の前側と後ろ側の筋肉も使われるようになります。この姿勢で早く歩こうとすると腕を大きく振らないと脚の動きを保つことができません。ということで、上半身も下半身も使って歩くことになるので、多くの筋肉が刺激されて、筋トレ効果も高まることになります。
こんなことをしなくても歩ければよい、と考える人もいます。特に時間の余裕がある高齢者は、こういった考え方をするようになりがちですが、年齢を重ねるほど筋肉の量は減り、筋力も低下していくので、早歩きをしないと早歩きができなくなっていきます。早歩きができないだけでなく、歩けない状態にもなりかねません。歩きないと歩けなくなる、早く歩かないと早く歩けなくなるということを意識するようにセミナーなどで伝えているのですが、そのときには中之条研究(群馬県中之条町)で明らかにされた高齢者は1日に8000歩を歩き、そのうち20分間は中強度の早歩き(なんとか会話ができる速度の歩行)をすることで健康度が高まるというデータを示すようにしています。ただ歩けばよいのではなく、健康のためにウォーキングをするなら20分間でよいので早歩きをすることが重要だということを話すようにしています。