早起きしてのウォーキングは健康によいのか

早起きをしてラジオ体操などで身体を動かすのは気持ちがよいものです。そこから発想して、早起きをして元気にウォーキングをして健康になった気分を味わっている人は少なくありません。元気に歩くことはよいことであっても、まだ身体が充分に働いていない早朝に頑張って歩くことは、かえって健康面ではよくないこともあります。“あります”どころではなくて、身体を傷めることから、できれば禁止したい人もいます。それは血圧が高くて、脈拍も多い人です。朝に血圧を測定して、変化に一喜一憂する人は多くても、血圧の高さと同時に脈拍の変化を気にしている人は少ないようです。
身体の働きを調整している自律神経は、活動系(興奮系)の交感神経と抑制系の副交感神経がバランスを取っています。昼間の活動時間には交感神経の働きが盛んになり、夕方から朝までは副交感神経の働きが盛んになっています。これが基本なのですが、「朝までは副交感神経」という一般的な言葉を信じて、朝からは交感神経に切り替わっていると思っている人は少なくありません。朝になると完全に切り替わるということではなくて、交感神経も副交感神経も働いているのですが、その割合が違っているのです。
朝には副交感神経優勢から徐々に交感神経優勢に切り替わっていきます。交感神経の働きが盛んになった状態を“身体が目覚めた”というとすると、早朝はまだ目覚めていない状態です。普段の生活では目覚めて(起床して)30分もすると交感神経の働きがよくなっていくのですが、普段よりも早く起床すると本来なら寝ている時間帯には、なかなか交感神経の働きが盛んになってはくれません。そんなときにウォーキングをする、それも早朝は気分がよいからと勢いよく歩くようなことをすると、血管を収縮させ、心臓の鼓動を高めるという交感神経の働きが間に合っていないために、血流不足になったり、血圧の調整ができにくくなります。
特に寒い季節には、ただでも血管は縮まった状態であるので、血圧が高い人、朝に脈拍(心拍数)が多い人は早朝のウォーキングは危険なことにもなります。これがわかるのは血圧計を使って毎日の状態をチェックしているからで、自分の状態を知ってから、健康に役立つことに取り組んでもらいたいということです。